続きです。(前の記事
 

○ちっくしょうで、ではでは、月面上の観測装置で水蒸気の雲が観測されたのはどう言う事でぇ!?
この雲は20Kmもの広範囲にわたり、14時間も存在したんだぞなもし!!
→たぶんこれはNASAの月探査機「エルクロス」の事を言ってるんだと思います。「エルクロス」のミッションは、月の極地方にある永久影(太陽光が全く当たらない部分)に氷が存在するのを確かめる事でした。「エルクロス」は、まず上段ロケットのセントールを月の南極にあるカベウス・クレーターに衝突させ、その約5分後に衛星本体も突入しました。そして、その衝突時に舞い上がった物質の中に水蒸気が検出されたのです。こうして月に水が存在する証拠が得られた訳ですが、水蒸気の雲ってのは、これが元ネタになったのだと思います。
イメージ 11 
(←)エルクロス。
ところで、大体、月に水蒸気があったとして、何故それが月=人工宇宙船の証拠になるのか、良く理解できません…。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
○て、てやんでい、べらぼうめ切り札を出してやる!!アポロ計画では月に地震計を設置して、不要になった宇宙船をぶつけたりして月の振動を調べた時、まるで、中が空っぽの金属が震えるような不可解な結果が出たんでい!!これで月が中空で、金属で出来た宇宙船だって事が証明されたんでぇチョキ!!
→月の振動(月震)は地球のものとは全く違うのは事実(揺れのピークに達するまでの時間が長く、揺れがおさまるまでの時間も長いなど)です。これをしてNASAのスタッフは、「月の反応はまるで巨大なベルかゴングのようだ」と発言したとか言われてますが、そんな発言があったとしてもそれはあくまで例え話でしょう。それが一人歩きして「中空の金属」と言うハナシになったようです。何故このような震動になるのかと言うと、月は地殻が不均一で地震波が散乱しやすい、振動を吸収するガスや液体物質がない、岩石に歪がないなどの理由が考えられておりますが、これもまだまだ研究者の方々が調べている最中です。
 
またまたトドメを刺すようで恐縮ですが、月に設置された地震計は深さ800Km~1000Kmで発生した月震を記録
しております。浅い所で発生する月震でも深さは300Kmほどはあります。これは、月が中空などではない事の
何よりの証拠です。
 
(↓)アポロ計画で設置された月震計。     (↓)計6箇所に設置され、三角測量の要領で震源を観測した。
イメージ 3
イメージ 4
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 5
(←)月震計による観測データ。
アポロ計画での月震計の観測期間は通算8年10ヶ月。
その間、12,558回の月震が記録されたそうです。
 
 
(↓)月震の震源分布。これを見ると月は空洞でも何でも
ない事がよく判ります。
 
イメージ 6
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
○く、くっそ~!!-そ、そんなの全部、NASAの捏造、隠蔽、陰謀だよ~ん!!
行き詰ると、すぐそこに逃げるんだから…。伝家の宝刀ですね。切れ味悪いけど。
月を探査してるのは何もNASAだけではないです。昔から、最も身近な天体として、ずーっとずーっと観察され続けているんですから。人類が宇宙に行けるようになって、NASAのライバル関係にあった旧ソ連もルナ・シリーズを月に飛ばし、サンプルリターンしてますし、日本も中国もヨーロッパもインドも月探査機を飛ばしています。民間でも月に行く計画が立ち上がっているし、NASAが単体で捏造や隠蔽をしたって全く意味がありません。
 

 
月の謎は他にもまだまだ沢山あります。
 
地球に対して大きすぎるとか(宇宙船としても大きすぎないか?)、距離がおかしいとか、軌道が変だとか、
 
角運動量が大きいとか、磁場がないとか、表と裏が違い過ぎるとか(これに関して「月=人工宇宙船説」では、
 
月が地球まで飛んでくる時、月の裏側が進行方向に向いており、沢山隕石なんかがぶち当たったので、
 
せっせと補修工事をしたから…だそうです。そんな与太話、どうやって信じろと言うのでしょうか?)、
 
そもそも、月はどうやって生まれたのかとか。
 
 
月の成因を説明するのに現在最も有力視されているのが「ジャイアント・インパクト説」です。
 
約46億年前、生まれたての原始地球に火星ほどの大きさの天体が衝突し、地球のマントル部の破片をとび
 
散らせてそれが集まって月になったと言う説です。この説を採ると、月の謎の多くが説明できるのです。
 
ジャイアント・インパクト説は、1984年の「月の起源に関する学会」で有力な学説として認められました。
 
反面、そんな事が起こる確率はかなり低かろうと思われていたのが弱点だったのですが、近年のコンピュー
 
ター・シュミレーションを使った研究によって、原始惑星同士の衝突と言うのはそんなに珍しくないらしいと言う
 
事が判ってきました。
 
(↓)ジャイアント・インパクト模式図。
イメージ 1
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
また、ジャイアント・インパクトでは大きな月と小さな月の二つが出来て、その後月同士がまた衝突して一つ
 
になったのではないかと言う説も最近発表されました。
 
小さな月が大きい方の裏側に衝突したと考えられるそうで、そうすると月の表と裏の違いなどが説明できるとか。
 
イメージ 2
 
この説なんか、物凄くロマンを感じますね~。月は人工の宇宙船だ!!なんてハナシより、よっぽど。
 

 
と言う訳で、現在でも月には多くの謎が残されているのは事実です。
 
その謎に対して、世界中の科学者が色んな仮説を立てて、研究・観測し、確かめようと努力しております。
 
世界各国、財政が苦い中、予算獲得に汲々しながら。それでも謎を解明しようと頑張っています。
 
謎をそっくりそのまま宇宙人のせいにしてしまうのは完全なる思考停止で、ロマンもへったくれも無く、そうなって
 
しまうと新しい事実の発見する喜びも、科学の進歩も、何も無くなってしまうような気がします。
 
 
まだまだ先の事になるでしょうが、月の謎が全て明らかになり、アルテミスが神秘のベールを脱いでくれる日
 
も来るでしょう。
 
イメージ 7
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
余談です。 
 
(↓)アルテミス。イメージ 8イメージ 9
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アルテミスは、ギリシア神話の狩猟・純潔を司る処女神で、のちに月の女神にもなりました。
 
ゼウスの娘で、アポロンとは双子。アポロンと双璧をなす弓の名手でもあります。
 
処女神としても異常とも思える程の潔癖症で、たまたま自分の裸体を見てしまった猟師を雄鹿に変えて自分
 
が連れていた猟犬50匹に噛み殺させたりしてます。
 
 
そんなアルテミスも、海神ポセイドンの子にしてギリシャNo1の狩人であるオリオンと恋に落ちますが、アポロンは
 
二人の仲を認めず、毒サソリを放ってオリオンを海に追い落とします。アポロンは、遠く波間に漂うオリオンを指し
 
て「いくら弓の達人である君でも、あれを射抜くことはできないだろ?」とけしかけると、遠すぎてその標的が愛す
 
るオリオンだとは判らないまま「簡単なことよ」と矢を放ってしまいます。矢は命中し、オリオンは絶命してしまいま
 
した…。
 
嘆き悲しんだアルテミスは、父ゼウスに嘆願し、オリオンを星空にあげてもらいました。
 
そうすれば、自分が天空を駆け巡る時に、オリオンに会えるから。
 
ゼウスは娘の願いを聞き入れ、オリオンは星座になりました。
 
(↓)月とオリオン座。デート中でしょうか。
イメージ 10
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
最後に話が激しくそれてしまいました。すみません。
 

 
ところで、「月=人工宇宙船説」は、次のような質問には答えてくれてはおりません。
 
どこにエンジンが付いてるの??? 動力源は何??? どうやって作ったの??? どこから来たの???
 
中には何人住んでるの???  50億年以上(?)も前に作られて、いい加減ぶっ壊れてるんじゃないの??? 
 
中の宇宙人も絶滅したたりして???
 
ところで、一体全体、何しに来たの???
 

 
『世界はこうしてだまされた〈さらばUFO神話〉』(高倉克祐著/悠飛社) トンデモ本の世界(と学会編/洋泉社)他