前回記事でクイーンメリー号を採り上げましたが、興味をそそられてちょっと調べてみたら、あんなもんじゃあり
ませんでした。クイーンメリー号には出るわ出るわ。幽霊のメガ盛り状態でした。
面白いので、記事にします。
丁度イギリスでは、将来のクイーンを迎える盛大な結婚式を挙げてるし、グッドタイミングですね。
簡単にクイーンメリー号のプロフィールを…。
1920年代後半、ヨーロッパでは巨大客船の建設競争が巻き起こっておりました。
イギリスの船会社キュナード・ラインは他国やライバル会社に負けじと米英間を毎週往復できるように、2隻の豪
華客船の建造しました。大西洋航路の華麗な姉妹、クイーンエリザベス号とクイーンメリー号です。

(←)クイーンメリー号の進水。
クイーンメリー号は、1936年5月27日、最初の旅に就航しました。
その後のクイーンメリー号は、世界最大・最速・最豪華をライバル達と競い合いつつ、大西洋を駆け抜けます。
ところが、第二次大戦が始まるとクイーンエリザベス号共々軍に徴用され、兵員輸送に従事させられます。
この時、美しい船体を灰色に塗り替えたクイーンメリー号は、クイーンエリザベス号と共に「灰色の幽霊」と呼ば
れると言う屈辱を味わいます。 しかも、レディーに似つかわしくない機関砲まで甲板に設置して。
しかし高速を誇るクイーンメリー号は、通商破壊を試むドイツのUボートの速度をはるかに凌駕し、軍用艦の護衛
なしでも一度に最大15,000人の兵員輸送が可能だったので、軍には重宝されました。
そんな中…。
1942年10月2日、不幸な事故が起こりました。アイリッシュ海を航行中、護衛の軽巡洋艦キュラソーと衝突したの
です。クイーンメリー号が十分な距離をとらずにキュラソーの進路を横切ろうとした結果、殆ど最高速度の28ノッ
トでキュラソーの船体中央に衝突。排水量82,000㌧のクイーンメリー号に対して、キュラソーは4,000㌧ちょっと。
軽自動車に大型トレーラーが突っ込んだ様なもので、キュラソーは真っ二つに折れて、沈没しました。
明らかにクイーンメリー号側の過失による事故だったのですが、Uボートの攻撃を警戒していた軍部から「いかな
る事があろうと停船してはならない」との命令を下されていたクイーンメリー号は、キュラソー乗員の救助に加わ
る事なく現場を後にしました。クイーンメリー号も船首に損傷がありましたが、緊急に修理できる程度のものだっ
たのです。
この事故で、338人が死亡しました。しかも、この事故は戦争が終わるまで報告されなかったのです…。
さて。
前回もご紹介したプールに飛び込む女性の幽霊。クイーンメリーにはファーストクラス用、2等クラス用と複数の
プールがありますが、ファーストクラスには二人の幽霊が出るそうです。
一人は1930年代風の水着を着た女性。現在プールには水は入っておりません。しかし、水しぶきの音を聞く人も
多く、プールサイドに濡れた足跡が続いていることもあるそうです。もう一人は、テディーベアを抱えた若い女性
の霊だとか。
―とは言え、このプールで死亡事故が発生した記録はないそうです。その為、アメリカの心霊研究家は「このプ
ールは霊界とつながっている」とか何とか小理屈を言っているそうです。いいんだよ!理屈抜きで、!出るときゃ出る
のが幽霊なんだから。このプールに出る幽霊がクイーンメリー号とは何の関係ないとしても、豪華客船のプール
で泳いでみたがる幽霊がいてもおかしくないでしょ。

2001年8月31日撮影。
ちなみに、2等クラス用のプールにも、ちゃんと別の幽霊が出るそうです。それはプールで溺死した少女の霊
で(嘘かホントかは不明)、ジャッキー(Jackie)と呼ばれています。
彼女の姿を見たり、笑い声を聞く人も多いそうです。
ファーストクラスの個室では、深夜に水が勝手に流れたり、ライトが点いたり、無言電話がかかってきたりするば
かりではなく、1930年代の服装をした男性の幽霊が現われるそうです。

しかし、高い金払って泊まったファーストクラスで、安眠妨害されたらたまったもんじゃぁありませんねえ。
舷側のプロムナードデッキでは、二人の従業員によって、やはり1930年代の衣装を身につけた婦人が目撃され
ました。

(←)プロムナードデッキ。
婦人の姿はぼんやりと透けており(スケルトンですよ、はねるさん)、柱の方へ歩いていって消えたそうです。

(←)屋外デッキでのパーティーに現われた幽霊。 スケルトン。
クイーンメリーの中で最も「取り憑かれている」のが船首下層とボイラー室だと言われています。
船首下層では、大勢の恐ろしい悲鳴が聞こえるそうです。それは、当然ながら、キュラソーとの衝突事故の被害
者の悲鳴だとされております。徹の壁を叩く音が録音された事も。
ボイラー室は、水面下11m。船の最下層に位置します。ここには高圧の蒸気が通るパイプが巡り、衝突事故の
時にはパイプが破れて何人かの乗組員が犠牲になったと言います。

(←)船首下層部。
そして、クイーンメリーで最も有名な「心霊スポット」は「13番ハッチ」
です。

1966年7月10日、18歳の船員ジョン・ペダー(John Pedder)が、訓練中にこの扉に挟まれて事故死したのです。
彼の幽霊は、髭をたくわえ、青いオーバーオールを着た姿でシャフトを点検して周り、そしてこのハッチの前で消
えるのだとか…。
他にも、いろいろあります。
・3等のキッズルームで赤ん坊の泣き声がする。生後間もなく亡くなった男の子の泣き声だと考えられている。
・ファーストクラスのラウンジで独り踊る婦人の幽霊が…。
・3等の一室に、殺されたパーサーの悪霊が出るので、今では開かずの間になっている。
・調理場に殺されたコックの悲鳴が響く。このコックは料理が下手すぎたため、怒った兵士にオーブンに押し込ま
れて生きながら焼かれたそうな。(あり得なさそうなハナシだなぁ。)
・エンジンルームでも幽霊の目撃が絶えない。
・兎も角幽霊が出る。
・何が何でも出る。
(↓)エンジンルームの幽霊。?







(←)霊。動画もあるが見ても良く判らないので載せません。
しっかし、クイーンメリー号の心霊写真は、どれもこれも微妙すぎて恐怖感が伝わってきませんね~。
よくこんなんでホテルとして営業できるなぁと思いきや。そう思うのは日本人だからなのかもしれません。
やはりと言うか、当然と言うか、クイーンメリーホテルではゴーストツアーが催されており、人気アトラクションとな
っているそうな。アメリカならではと思うのが、件のファーストクラス用プールにスモークを焚いたり、突然電気が
消えて真っ暗になったり、最後は壁から水が噴出したりと演出満点だったりするそうです。
さすが、幽霊が出るのが売りになると言う、欧米のホテル文化ですなぁ。
戦後、豪華客船として航路に復帰したクイーンメリー号でしたが、急速な旅客航空の発達と、豪華客船自体の世
代交代の波に押されて、1967年に現役引退。売却先は引く手あまただったのですが、ロングビーチで余生を送る
事となりました。現在では2004年に就航した「クイーンメリー2世号」が世界中をクルーズしております。

(←) 手前が先代。向こうに見えるのが二代目。
(誤訳があるのはご愛嬌としてご勘弁を。)