知人の体験談です。その人は、京都に親友が居り、その親友と言うのは地元の名士の息子。

京都に遊びに行くと、親友のおこぼれで随分と美味しい思いが出来たそうです。

そんなんで、ある時また京都に行った折、某有名高級旅館に親友と二人で招待された時の事。

その旅館には、これまた有名な「開かずの間」がありました。

親友が、ただ泊まってもつまらないから、その「開かずの間」に泊まらせる様、駄々を捏ねました。

二人とも幽霊等頭から信じておらず、「開かずの間」に泊まった事を、武勇伝にしたかった様です。

女将もその我儘を聞かざるを得ず、二人は「開かずの間」に通されました。


深夜、知人は胸が重苦しくて目が覚めました。

胸の重さに呻きながら、何と無く「和服を着た女」の存在を感じていました。姿は見えませんが。

時間が経つにつれ、胸の苦しさは増して行き、このままじゃヤバイ…と焦っていると、

隣で寝ていた親友が「おい!大丈夫かっ!!」と叫んで知人を揺り起こしました。

胸の苦しさは消えました。「はよ、来い!」と引き起こされ、ロビーに連れて行かれました。

親友は「振袖を着た女が、布団の上にのしかかってたで!」と言います。

やっぱり、と思いながら「その女は?」と聞くと、「お前、見えんかったんか?」「見えなかった。」

「ずっと、部屋の隅でこっち見とったぞ。」

その夜は部屋を替えてもらいました。

翌朝、女将から聞いた、その部屋が「開かずの間」になった由来は、次のような話でした。

先々代の頃、その部屋で男女が首を括る心中事件があり、男は一命を取りとめたが、女は亡くなった。

女は、見事な振袖を纏い、鴨居にぶら下っていた…。




度々ですが、入ってはいけない所に入ると、碌な事にはなりません。
全然違う話ですが、以前京都を旅行した時、真夜中に目が覚めた瞬間、箪笥の戸がききーっと独りでに
空いたときはビビりました。何も出てきませんでしたが。
友人は「お前が鈍いから見えなかっただけで、中から貞子みたいのが出て来てたんじゃないの?」
と言いますが、鈍くて結構。そんな物見たくありません。