私の同期が、「出る」事で内輪では有名な店舗に派遣されました。着任すると、案の定様々な怪異が彼を襲いました。
○夜、架かってきた電話に出ると、妙な呻き声が聞こえ、突然切れる。着信履歴には、何も残っていない。
○誰もいないトイレで、ドアの開閉音や、水を流す音がする。
○無人のショールームをコツコツ歩き回る足音がする。
○展示車のドアがバタンバタンと開閉する音がする。
○どこからとも無く「あうあうあうあう…」と変な声が聞こえる。
等等、「よく聞く怪談大集合」の様相を呈していたそうです。
 噂は聞いていたものの、最初は彼も相当びびったそうです。しかし、他のスタッフは慣れてしまっているのか、さほど気にしてない様子。1年も経つと、彼もすっかり馴染んでしまい、何が起きても、「ああ、またか。」位で済ましておりました。
 決算期の月末というカーディーラーにとっては、戦争であり修羅場である時期などは、夜コツコツ響く足音に向かって「やかましゃー!!クソ忙しい時に邪魔すなァ!!(大阪出身)」と怒鳴りつけた事もあったとか。(ほんとに人間は慣れるものです…。)
他所でも色々話を聞きましたが、この様に、「怪異」と共生している所は以外に多い様です。

この話は、飲み会の席で聞いて、皆で「怖ええ~」等と盛り上がった憶えがあります。しかし、今改めて文章にして見ると、余り怖くないですね。(私の表現力の無さに由来するのでしょうか。)しかし、確かにディーラーと言うのは何処でも、決算期には幽霊もへったくれも無い戦場と化すのは事実で、この部分はリアリティーを感じます。(別に、他の部分が作り話だ、と言う訳では無いですが。)