私が以前在籍していた中古車店でのお話です。
 ある日、袈裟を着たお坊さんが来店しました。お帰りの時、出易い様に私が車を移動させ、送り出しました。すると、それを見ていた同僚が血相変えて寄ってきます。「おい、今の車、やばいぞ!お前何も見えなかったのか!?」何言ってるのか判らず、訳を聞くと…。
 彼が言うには、車の後部座席に人が何人も!乗っていて、何やら大騒ぎしていた。吃驚して見ていると、端と端の頭がすーっ、すーっと入れ替わったりする。助手席には髪の長い女が俯いて座っていた、と。「馬鹿な事言うな。」等と言っていると、向こうからバイトの子がやって来て「今の車、後ろの席に、白いモアモアした物が詰まってましたけど、あれ、何ですか?」と聞いてきます。
 二人はだいぶ離れた所に居た為、口裏を合わせて私を担ぐ、と言う事も出来ません。かなりゾッとしましたが、そんな車に乗っても何も感じない私自身の鈍さに呆れるやら、感謝するやらでした。
 因みに、その車が下取にでも入ってきたら嫌だなあと思っておりましたが、幸か不幸か、そのお坊さんは他店で車を買い替えたらしく、二度と来店させませんでした。

-こちらも以前他所様のサイトに投稿させて頂いた話です。その折には、霊は車に憑いていたのか、はたまた坊主に憑いていたのか、とちょっとした盛り上がりになりました。今となってはどっちでもいい事ですが。