小説『偽薬師』第1話 | ほっこり小説

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  臨床心理士と精神科医が切っても切れない関係であるように、ここ最近、台頭してきた中で「偽薬師(ギヤクシ)」という胡散臭い職業もまた、切り離せない関係となりつつあった。

 では「偽薬師」とはどういった職業なのか。
その前に業務独占と名称独占についてご説明しておかなければならない。

 まず業務独占とは、国家資格においてその有資格者以外の者はその業務を行うことが出来ないとされる、法的規制のことをいう。
たとえば有名どころでいうと、医師や看護師、薬剤師など、他にもめずらしいところでいうとクリーニング師なども業務独占として名を連ねていたりする。つまり資格(免許)がない人がそれに関わる業務をしてはならない、といった意味を持っているのだ。

 次に名称独占についてだが、臨床心理士、介護福祉士や理学療法士、栄養士なども名称独占と呼ばれる職業である。つまり、どういうことかというと、栄養士という資格を取得した者は、自分が栄養士であるということを名乗ることはできるが、だからといって、栄養士の資格がない者が食事を作ってはいけない法律はなく、介護福祉士の資格がない者が身内を介護してはいけないといった法律も存在しないということなのだ。

 もっと大雑把に言ってしまうと、業務独占の職業はいざという時に強くて、名称独占の職業からすると憧れの的だったりする(これは個人的感想ですのであしからズ)。

 そして、ここから先がムカつく話だが、わたしの持っている臨床心理士という資格は名称独占なのにも関わらず、「偽薬師」という職業は歴史が薄っぺらいくせにちゃっかり業務独占の職業に名を連ねているのだ。
 職業名の中に偽物というコトバが入っているにも関わらず、なんという待遇の良さ!しかも厚生労働省の管轄なのでどうしても仕事上の付き合いが発生してしまうのだった。

 そう。わたしの屈辱的ともいえる日々は、「偽薬師」と名乗る、宇佐見道彦との出会いから始まったのだ。





第2話へ つづく。