時計に目をやるとすでに明け方の5時。この場所から外の景色を望むことはできないが、世間では今年1年の調整に入る時期、もう師走である。
力水教授の意志により、某有名大学の地下2階にぼくたちが集められてからすでに3時間が経とうとしていた。
ぼくたちが再び、カフェ風の会議室に戻ってきた時には力水教授はテーブルの上に空いた皿を乗せて紙ナプキンで口元を拭いていた。「いやぁ、なんだか空腹に拍車がかかってしまってね。パスタを作ったんだがあいにく、皆の分まで無くてね、慌てて食べ終えたところさ。お?全員また揃ったということは最終的な結論に至ったということで話を進めて構わないのかな?」
ピンクこと、椎名 琢磨が頷きながら、
「自分がこの闘いに耐えられるだけの心身の強さを持っているのかどうか、教授の話を聞いた後でも遅くないと判断いたしました。もう後にも引けませんし、立ち止まっているわけにもいきません。どうか話を進めてください」
「よろしい。それではまず、きみたち5人編成のグループ名を伝えておこうか」
力水教授はパスタが入っていたであろう、空の皿を名残惜しそうに見遣りながら、隣に置いてあったお冷を一気に飲み干した。
「きみたちの名前は『バニッシュレンジャー』という。もしかしたらレンジャーは聞いたことがあるかもしれない。特殊技能を身につけた者という意味だ。そしてバニッシュとは、英語で姿が消えるという意味をなす言葉だ。つまり、直訳すると『消える特殊部隊』とでも言おうか」
消える?
消えるとはいったい、どういうことか。姿を消して病気と闘うとはいったい―――?
「常識の範ちゅうならば、とうに越えている。これからする説明は決して簡単とはいかないが、こればかりは皆に理解してもらわねばならんのでな。わかりやすく話すつもりだが、質問があったら遠慮なく言ってくれて構わんよ」