昨夜はBSでヤナーチェクとシェーンベルクのオペラを2本立てでやってました。シェーンベルクの『今日から明日へ』というのはオペラよりも「軽い」もので、一種のミュージカルだと思ってよいのではないか、なんてことを言ってる人もいました。あのシェーンベルクがある程度人々に受け入れられ易いものを意図して作曲したことは事実だと思います。それにしても12音ミュージカルとは。
 私は始めて聞きましたが、演劇としてとても考えさせられるものでした。表面的には平凡な中流家庭の夫婦喧嘩と和解を描いたものですが、表面的には収拾されたかに見える問題は実は根本的には解決されてはおらず、現代の夫婦関係は家庭に潜む虚構や欺瞞を裏側からさりげなく抉り出す非常によくできた台本だと思いました。モダン(現代的、流行)という言葉が批判的な意味で使われるキーワードとしてでてきます。シェーンベルクは自身をむしろ保守的な人間だ、と宣言しているようでもあります。シュトラウスのオペラのパロディでもあるのでしょう。よくできた現代劇として、もっとレパートリーとして取り上げられて良い作品なのではないでしょうか。演出家も腕の振るい所満載だと思いますが。
http://www.youtube.com/watch?v=neB_gKDNVEI