ゆーたと出会ったのは、大学のテニスサークル。
彼とは同級生だった。背も低いし、顔も私好みでもない。
出会ったころの印象はとても薄い。というかほぼナイ。
彼とよく話をするようになったのは、サークルの幹部になってから。
4年の夏ころからはパソコンで毎日メールをするようになった。
当時、私は付き合っている彼がいた。
同じ大学の同じサークルだったので、気まずくならないように卒業と同時に別れる予定でいた。
卒業後、私は彼と別れ、そしてゆーたと付き合う事になった。
一人暮らしをしていた私の家に、週末ゆーたは泊まりにきていた。
それがなんだか、新婚生活みたいで、お互いに「結婚」を意識していたのだと思う。
その後、実家に私は戻ったので、週末婚生活は終わったのだけど。
お互い、平日は仕事をこなし、土曜日はデート。日曜日は趣味の時間。という風に
付き合いを重ねていった。
時々、旅行に行ったり、将来のことについて話をしたり。
2人の中で、結婚は前提になっていた。
あるとき電話で、
「6月か7月にご両親に挨拶しにいくから、予定を聞いておいてね」
とゆーたに言われた。
親に挨拶してくれる、ってことは結婚へ一歩近づく!
すごく嬉しくて舞い上がっていたのだけれど、いつ親に予定を聞こうか考えていた。
すると翌日。ゆーじから電話があった。
「俺、会社辞めたから。」
「えっ!?どういうこと?」
前からずっと会社には不満を抱えていた。どうやら人間関係がうまく行ってなかったらしい。
どれが、今日、彼の中で爆発して、辞めると宣言してきたらしい。
それをあっさり了承する会社も会社だけれど。
「じゃぁ、親への挨拶は・・・?」
「無職やのにご両親に挨拶なんてできへんやろう。次の仕事が決まったら行くから。ごめん。」
「次の仕事が決まったら」を信じて、私は待つことにした。
今思えば、彼の行き当たりばったりの性格はここからでていたのだった・・・。
結婚するに向けて、私は彼がすぐに就職活動をしてくれるのだと思っていた。
しかし、彼は一向に就職活動をする気配がない。
平日の昼間に連絡しても返事はない。夜になるまで連絡がつかない。
浮気ではなく、彼は夜中に起きて昼間は寝てる、という生活を送っていたのだった。
それが1ヶ月ほど続く。
私はだんだんと不安定になっていった。
連絡がつかないとパニックになってしまう。連絡がつくまで電話を鳴らし続け、メールを送り
続ける。自分でも「やりすぎだ」とわかっていたのに、止められない。
そのことが原因で彼ともギクシャクしていった。当然ケンカも増えた。
苦しくて、夜も眠れなくなる。昼間は仕事が手につかない。
私はカウンセリングにも通うようになった。
カウンセリングの先生には
「今すぐ、彼と別れた方がいい。」
と言われたが、別れるつらさより、今のがまんするつらさを私は取ってしまった。
夜眠れないつらさから、睡眠薬に頼り、それでも眠れない。イライラする。
いっそ死んでしまおう。薬をたくさん飲んで寝た。
けれど、気持ち悪くなって嘔吐を繰り返し、結局死ぬことなんてできなかった。
自分の体に負担をかけただけだった。つらくなっただけだった。
「自分をこんなに苦しめるだけなのに、どうしてしがみついているのだろう。もう別れよう。」
そう決意した直後に、彼は優しい言葉をかけてくれるようになり、私は別れることができなかった。
仕事を辞めてから2ヵ月後、ようやく彼は仕事に就いた。
その3ヶ月後、両親に挨拶しにきてくれた。
しかし、「結婚する」とは明言せず、「結婚を前提におつきあいしています。」
としか彼は言ってくれなかった。
私の両親も首をかしげていたが、「緊張していたのだろう。」と特に何も言わずにいてくれた。
その年のクリスマスに婚約指輪をもらった。
そして2月に両親達の顔合わせを。
5月に式場をきめ、月末には結納を交わした。
11月の挙式に向けて、私達はようやく動き出した。