お兄ちゃんの卒業式に行った。



お兄ちゃんを想いつつも、どうしたってあの子のこともよぎる。

というより、よぎらない訳がないのだ。



あの子の卒業式には、もう2度と行けないこと。

あの子の人生の卒業式は、幼稚園の卒園式1回だけだったこと。

お兄ちゃんおめでとう!の気持ちと、あの子への悲しい気持ちが交差する。



そのうち、この保護者席でこんな複雑な気持ちなのは、私だけに違いないと卑屈な思いが湧き上がる。



仕方ない。

仕方ない。

こんな気持ちになるのだって、仕方ないんだよ。



子供を亡くした親あるある、なんだよ、これは。

すごーーく狭い範囲のあるあるだけど、分かる人には分かるはず。



そのうち、卒業生代表の言葉が始まり、最後に家族へのメッセージがあった。

そのメッセージは、

「今までありがとう!これからもよろしくね!」 という言葉でとじられた。



そっか。

そうだね。

この世に生きてて引き続きこの世で生きていく人達も、亡くなって見えなくなったあの子達も。

「今までありがとう!これからもよろしくね!」

なのは、何も変わらないんだ。



その時。

私は少しだけ、気持ちが軽くなった。




今までありがとう!これからもよろしくね!