「鏡の奥に見えたもの」
かつて私は、人から感じ取るものといえば、どちらかというとネガティブなものばかりだった。
嫉妬や苛立ち、違和感や拒否感。
そうした感情は、すべて私の中にあるものを映し出しているのだと、頭ではわかっていた。
いわゆる「鏡」というやつだ。
でも最近、私はようやくそれだけではないことに気づき始めた。
ふと誰かの姿を見て、「すごいな」と感じる。
その力強さ、誠実さ、芯の通った言葉。
以前の私なら、きっとどこかで距離を取っていただろう。
「あの人は特別」「私はただの観客」――そんなふうに。
私たちは「嫌な感情は自分の投影かもしれない」と内省するけれど、
「素敵だな」と感じるポジティブな面はつい遠くに置きがちだ。
でも、その素晴らしさを言葉にできるということは、
それが自分の内側にもあるという証拠であり、
そのことにようやく腑に落ちたのだ。
嫌だと感じるものだけが鏡ではない。
美しいと感じるもの、尊いと感じるものも、
私の内側に存在するからこそ、気づくことができるのだ。
それに気づいたとき、ちょっと笑ってしまった。
「ああ、こっちも認めるのね…」って。
光も影も、私。
ネガティブなものも、素晴らしいものも、
どちらも“外”ではなく、ずっと“内側”にあった。
そう思ったとき、
なんだかとても静かで、でも確かな決意が胸に灯った。
私の中には、思っていたより、ずっと多くのものがある。
それを生きる時が、今、来ているのかもしれない。
最後まで読んで下さり
ありがとうございます
読んでくださったあなたには
さらなる幸福が訪れますように