CMの分析研究 

今回は 1987年(昭和62年)の「ハイターE」です

短期間でラベルデザインチェンジと

値段変更で新発売扱いで 

ブランドとして前年に続き 3本目のCM 

実は かなり冒険的で 大胆攻めの感じの作品でした。

 

では フォーマットに 従って 分析をしていきましょう。

 

30秒版

 

15秒版

 

 

①登場人物 2人(大人の女性と男の子)

 

女性(専業主婦のママ)

男の子(未就学か幼稚園児 3~5歳児)

[男の子は以下 ボクと男の子を 併用]

 

②漂白対象物 子どもの肌着・下着 

(パンツ・シャツ・くつ下)と(シーツ)(ワイシャツ)

 

③こんな汚れに ボクの下着(パンツ)の ひどい黄ばみの漂白 

④汚れたものは出てる?着用は? 

出てくる

黄ばんだ下着(パンツ)・着用あり

 

 

⑤漂白剤投入時 手袋・エプロン着用?  両方着用 

 

⑥キャッチコピー

「まっ白 イイわね~♪」(30秒のみ)

「まー 白くなるものね」

「こまめに ハイターEしなくちゃ」(30秒のみ)

「ニオイが ツンとこない」

「洗剤では 残ってしまう シミや黄ばみを シンから スッキリ分解」  

⑦ボトルの登場は (大)・(小)両方 

 

⑧コーラスとCMソングは?

 ソロで「まっ白 イイわね~♪」(30秒のみ) 

    複数人で「ハイターE~♪」

 

補足)

   ・舞台は2階建て住宅の居間 

   (子どもがいるので 絵本やおもちゃがある)

 

   ・衣装は ママは エメラルドグリーンの服と白のズボン 

    エプロンはピンク系 

    ボクの衣装は 白の肌着(シャツとパンツ)

   

   ・最後の場面で 男の子のくつ下とシーツ 

    お洗濯後たたまれた パパのワイシャツ が出てくる 

 

(では このCMのポイントを 見ていきましょう) 

 

①登場人物が 親子

 

昭和時代の 洗剤・漂白剤・柔軟剤のCMでは 親子の組み合わせが 多かった気がします 

子どもは1か2人が 普通でした

このCMでは 母親と子どもの組み合わせ(ママとボク)で 

男の子の設定は お着替え場面から 一人で着替えれるようになる 

3~5歳児(未就学か幼稚園児)と思います。 

 

②子供のいる 家庭の雰囲気を セットに 再現

子供のいる家庭を 再現するため セットにも 気配りが見えてます

窓側の 棚の中に 子供向けの本や絵本 

ロボットの玩具が 収納されており 

テーブル付近に 積み木と収納する 車輪付きの バス? が 

散らかって 置かれています。

 

③お着替えは 2パターン

 

30秒版は 自分でお着替え(シャツの着用)で 

シャツを 首に通せたと 笑顔で表現する姿を

 

15秒版では ママにお手伝いしてもらう場面が 

表現されています 

 

小さいころ 自分でお着替えできるまでの苦労は 誰でも経験あると思いますが

それを表現しているようです。

 

④下着(パンツ)が 前向きで映る(黄ばんだ状態も含め)

  

これまでも 前向きで 

パンツ着用状態の ことはありましたが 

 

漂白前やお着替え後で 

アップで 映ることは 考えられませんでした

黄ばんだパンツなら尚更ありませんでした

1986年30秒版で対比でパンツだけならありましたが

 

たしかに1978年のハイターの30秒版CMでは

男の子がお着替え後や飛び跳ねる場面で

前向きでパンツが写ってましたが 

アップではありませんでした

 

また パンツの UP画像は 後ろ向きが 基本でした 

しかし今回は 前向きでUPの カメラワークが ありました

後ろ向きで  黄ばみでは 都合悪いのでしょうか 

前向きでの場面でした

  

黄ばみとの比較で 着用した新品シャツが用いられ 

比較しています。 

 

⑤つけ置き漂白を おすすめする 

 

    

それまで塩素系漂白剤のTV-CMでは 

お洗濯と一緒の 漂白をオススメ していましたが 

このCMから つけ置き漂白を おすすめする形に変わりました 

酷い黄ばみは お洗濯と同時でなく 

つけ置きをと 勧めたのかもしれません

 

(当時の酸素系漂白剤のCMも つけ置き推奨をしてました)

また 洗剤の高性能化も理由の一つだと思います

(今のコンパクト洗剤が出始めたのがこの時期)

   

「さわやかな香り」がするという (香料入り)表示と 
「必ず 使用方法を およみください」の

注意喚起も この場面で。

 

⑥最後の場面は2パターン 漂白後の 親子のやり取り等 

15秒版・30秒版で2タイプあります

   

30秒版では 親子のやり取り後

居間で「こまめに ハイターE しなくちゃ」と言う場面に

 

    

15秒版は やり取りのみで、男の子が 喜びながら 飛び跳ねる場面に なります

 

⑦商品ロゴの 字幕が無い

 

今までなら 商品名のロゴ (この場合は「ハイターE」)が 字幕で出てきましたが 

今回は「ニオイがツンとこない」のロゴと

「花王」のロゴマークのみで 

何故か変更された「ハイターE」のロゴが 

記載されてませんでした。

 

 

なお15秒版は 「ニオイがツンとこない」の字幕なしで 

月のマークと「お求めやすいお値段で新発売」の表示が。

月のマークと花王の文字が上下逆転でした

 

まとめ)

今回のCMは これまでの概念を破った ものでした。

 

新規開拓のために積極的に

いろんな形のCMを「ハイターE」では 

制作しました

 

ただ 迷走状態だった点は 

この商品が 翌年 名称変更 してしまうことからも 

商品アピールポイントを どう伝えて 販売するか?の

苦労があったと思います

 

個人的には

CMのストーリーやセリフも場面によって

ちぐはぐで もう少し流れよく 

親子のやり取りも ホンワカな描写で

そんなCMだったら 良かったなと思いました

 

ラベル・製品としてはデザインは悪くなく 1年間だけでしたが 

インパクトと斬新さと固定概念を破った 

CMだったと思います。

 

追記)男の子役は無名の子役だと思いますが

ママ役の女性 何方なのかご存知の方

コメントの方に情報をいただきたいです

ご教示お願い致します。