先週末、臓器移植法改正案A案が衆議院を通過しました。
まだ参議院での審議はありますが、今まで国内ではできなかった15歳以下の臓器移植が可能となる方向に進んだことになります。

正直、驚きました。
「脳死は人の死」と明記したA案より、死の定義は変えないD案の方が通りやすいと思っていたから…

私は、心臓移植を待つ女の子とその家族を取材したこともありますし、
脳死状態の女の子とその家族を取材したこともあります。
独身の頃は、今ほど悩みながらの取材ではなかったと思うのですが、やはり親となると変わりますね。

移植を待つ子のお父さんは本当に一生懸命で…
うちの娘が健診で心雑音がする、と言われたときの主人の顔が思い出されました。
(結局、三歳まではハッキリしないままです)

脳死状態の女の子は、娘と同じ年。
いわゆる長期脳死と呼ばれる状態ですが、両親と自宅で暮らしています。
髪や爪がのびるのはもちろんですが、成長するにつれて自己主張が出てきた、とお母さん。
お風呂に入れたとき、夫婦ゲンカをしたとき、ウンチをするとき…それぞれ、声は違う、と。
1歳を過ぎて、自己主張が強くなってきた娘と重なりました。

親となった今、どちらの気持ちも痛いほどわかるので、採決の数日前から、泣いたり、気分が悪くなったり、ハイになったり…考えれば考えるほど、気分が落ち込んでしまって、
「冷静な判断に欠ける私にはできないかも…」と上司に話そうかと思ったほどでした。


この問題は、どちらが良い悪いの話ではないし、あげる側ともらう側が対立している話ではありません。
(そう見えてしまいがちですが…)

今のまま改正案が通っても問題は山積み。
実際に臓器移植を行う現場への具体的なフォローがない今のままでは、医師たちがさらなる労働過多になってしまうこと。
慎重派の先生のお話では、事故などで脳死となった乳幼児の2割ほどは虐待の疑いもあるという説だってあります。
他にも問題はたくさん。


幼い子供の場合、臓器移植の判断は親。
自分だったらどんな判断をするか、考えたことはありますか??


長期脳死の娘を持つお母さんのブログがあります。

ほのさんのバラ色在宅生活
http://honosan.exblog.jp/

とても明確な意志を持った愛情深いお母さんと、優しく頼もしいお父さん。
娘さんが羨ましいほど、本当に素敵なご両親です。