天国の鍵を任されたぺトロは、ちゃんと洗礼を授かり、勤めを果してきたカトリックのみを受け入れる仕事を、天国で全うしてきた。

二千年の時が経った今、気づいてみると…

天の宴には異教徒や、無宗教者すらも入り込んでいる。

いや…


数からすれば、彼等の方が圧倒的に多いようだ。


たまりかねたぺトロは、思わず主に愚痴を洩らした。


『主よ、私はいつもあなたに忠実に、勤めを果してきたつもりです。

だのに最近、ここは異教徒で溢れてしまった。

中にはあなたの御名も知らぬと言う者まで…

全く、教会の教えに反してるったらありゃしない』

イエスは笑って尋ねた。


『それで、住人からは苦情が出ているのか?』


『いえ、それが一つも…。
彼等はことのほか、異教徒と仲良く…』


それもまた、ぺトロには釈然としないことだった。

だが、イエスは言った。


『良いのだよ、ぺトロ。

おまえには天国の鍵を一つだけ与えた。

だが母には、もっと沢山の鍵を任せたのだ。

母はその鍵で、はるかな昔より、あらゆる地から、父の目にかなう者を集め続けている。

何故か?


愛こそが、母の本性だからだ。』


………


年も明けて、世界中の人々が自分達が信じる宗教だけに捕らわれて、争う世の中に終わりが来る事を祈願します。


サイラム