帝劇で小池修一郎さんの脚本・演出によるMusical Picaresque『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』を観て来ました。コロナ禍前から小池先生が古川雄大さんの主演作として企画を温めていた作品で,陰影に富む多様な役柄を繊細に演じ分けることができる古川さんを怪盗紳士アルセーヌ・ルパンに仕立て上げたミュージカル作品でした。原作であるモーリス・ルブランの小説『カリオストロ伯爵夫人』や『奇巌城』を読んだことはありませんが,アルセーヌ・ルパンと令嬢クラリスの恋,テンプル騎士団の秘宝を巡るルパンとカリオストロ伯爵夫人,名探偵シャーロック・ホームズの三つ巴の格闘など,小池修一郎さんならではアイデアと役者の魅力を引き出す音楽の力が漲る楽劇でした。結婚を発表してから初めての舞台上での演技を披露する元雪組の真彩希帆さんの歌唱もとても冴えわたっていました。
帝劇での上演期間は11月9日から28日と短かったので,改めて御園座公演(12月7-20日)も観劇したいと思います。男装の麗人を演じるカリオストロ伯爵夫人はWキャストなので,今回は柚希礼音さんでしたが,次回は真風涼帆さんの演技に期待したいと思います。柚希礼音さん,真風涼帆さん,真彩希帆さんともに宝塚時代は星組に所属していたという共通の経歴があります。さらにはアンサンブルとして今回のカンパニーには元星組の政本季美さんも加わっていました。政本さんの宝塚時代の芸名は“湊璃飛”でした。彼女も98期生なので真彩希帆さんと同期だったようです。星組OGたちの活躍もこのミュージカルの見どころの一つです。