『千と千尋の神隠し』の御園座での再演も8月26日に無事千秋楽を迎えたようです。“湯女”役や“壺”役など四役を巧みにこなし,アンサンブルとして活躍した折井理子さんのブログに千秋楽を無事に終えてホッとした様子が綴られていました。
ミュージカルや演劇における「代役」について考えることの多いこの数週間でしたが,『千と千尋の神隠し』のプログラムのキャスト紹介ページには「代役」=「アンダースタディ」の存在についても丁寧に記されていました。
⭐︎ハク(三浦宏規/醍醐虎汰朗)⇨ 新井海人
⭐︎千尋(上白石萌音/橋本環奈)⇨ 新井美羽
⭐︎湯婆婆(夏木マリ/朴璐美)⇨ 桜雪陽子
⭐︎リン(華 優希)⇨ 西宮ゆうき
⭐︎青蛙(おばたのお兄さん)⇨ 藤岡義樹
⭐︎カオナシ(森山開次/小㞍健太/山野光)⇨ 澤村 亨
⭐︎千尋の父(堀部圭亮)⇨ 水野栄治
(⇨ アンダースタディ)
メインキャストが出演不能になった場合の代役についても詳細な配慮がなされている点は,さすがジョン・ケアードの演出だなと思います。バレエ公演のようなフィジカル・パフォーマンスでは主役のに故障に備えて常にアンダースタディが準備されていますが,演劇やミュージカルでもいざというときのための万全の備えが大切なのだなと思います。
宝塚歌劇の場合は,アンダースタディというよりも新人公演という形で若手に修行の場を与えていますが,今回の星組の『1789 -バスティーユの恋人たち-』では,緊急事態ということで経験豊富な暁千星さんや天華えまさんが代役に抜擢され,見事に期待に応えました。彼女たちのように10年超の舞台経験と実力があれば,ほぼ台本は自分以外のセリフの部分も含めてある程度は反復して記憶しているでしょうし,短期間で振付や楽曲を仕上げることも可能かもしれません。ショー・マスト・ゴー・オンを体現してくれた彼女たちの努力に敬意を表します。
以前にミュージカル俳優の加藤和樹さんがコンサートのフリートークの際に述べていましたが,加藤さんはいつでも代役を務められるように公演ごとに台本や楽曲のすべてをマスターしているそうです。俳優さんたちの舞台にかける情熱とたゆまぬ努力には頭が下がる思いです。
by Courtesy of Studio Ghibli