芹香斗亜さんの宙組トップお披露目となるミュージカル『Xcalibur』は,芸術性の高い新生宙組の明るい未来を想像させるとても上質な舞台であった。春乃さくらさんもトップ娘役としはつらつとした演技と歌唱力で観客の期待に応えていた。韓国のEMKミュージカルカンパニーの作品は,昨年観た『マタ・ハリ』以来であるが,同じ脚本Ivan Menchell,音楽Frank Wildhornの作品でも今回の『Xcalibur』の方がダイレクトに心に響く内容のミュージカルだったと思う。宝塚ファンにとっては馴染みの深いアーサー王伝説を題材にしており,儒教の国,韓国版ならでは新解釈もすんなりと受け入れることができた。アーサー王,グィネヴィア,ランスロットの義兄弟のような関係性やアーサー王の育ての親であるエクターとの絆を軸に物語が展開することも新鮮であった。グィネヴィアがアーチェリーの名手という設定も韓国版らしい演出である。なによりも怨念と復讐に燃えるモーガン役の真白悠希さんと預言者マーリン役の若翔りつさんの演技や歌唱が出色のできばえであった。今後の活躍が楽しみな若手が台頭してきたように思う。