ボヘミアンたちのラブ・ストーリー | to-be-physically-activeのブログ

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 帝国劇場で上演中の『Moulin Rouge! The Musical』を観て来ました。ほぼ1か月ぶりの東京です。帝劇ビルは2025年をめどに一時休館し,新たな劇場に建て替えられる予定になっています。24年は『千と千尋の神隠し』まで公演予定が既に発表されていますが,現在の劇場での最後の演目は『Les Misérables』になるのかもしれません。

 あと何回,帝劇に行ける機会があるかかわかりませんが,しみじみと現在の劇場ビルの外観を眺めてきました。次回は地下鉄有楽町線の有楽町駅地下出口から劇場1階に通じるルートで入場してみたいと思います。

 オーストラリア出身のクリエーターが中心となって創作された『Moulin Rouge! The Musical』。まずは舞台装置の豪華さに幻惑されました。劇場内全体が強烈な真っ赤な照明で彩られ,下手側にMoulin Rougeを象徴する巨大な風車,上手側にガネーシャのようなインド象が客席を睥睨するように配置されていました。劇場のプロセニアムを仕切るカーテンも赤色,中央のハート型の照明も赤色と黄色のグラデーションで幾重にも飾られていました。19世紀末の淫靡で毒々しく,猥雑で儚い虚飾に満ちた欲望が渦巻く空間を再現したものだと思いますが,正直ちょっと居心地の悪い感覚を覚えました。

 ドラマの内容は,映画と同じく原作者のバズ・ラーマンの世界観に溢れていました。言い方を変えれば,自由奔放に芸術に生きるボヘミアンたちのラプソディー(狂詩曲)のような構成で,ちょうど同じ時期に新国立劇場で上演されているイタリアのプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム(La Bohème)』に範をとったような筋書きでした。

 今回は,花形の踊り子であり娼婦でもあるサティーン役を演じていたのは平原綾香さん,詩人で作曲家でもあるクリスチャン役は井上芳雄さんでした。二人の熱のこもった演技に加えて,ジャズからロック,ポップス,シャンソンなど20世紀を代表する音楽をコラージュした懐かしいメロディーと情感豊かな歌唱に酔いしれることができました。ド派手な舞台装置や照明とは裏腹に,芸術と真実の愛を求めるボヘミアンたちの切ない希望と友情の物語であったと思います。

 次回は望海風斗さんがサティーン役を務める舞台を観劇する予定です。次回はもっと落ち着いて楽曲の流れや歌詞の内容にも耳をすませたいと思います。