先週,小倉到着の当日,小倉城に見学に行ったついでにお城の敷地内にある北九州私立松本清張記念館を訪ねました。作家の松本清張さんが亡くなったが1992年(平成4年)8月4日ですので,没後30年を経過したことになります。記念館の中には東京の上高井戸にある清張さんの自宅の書斎や応接室,書庫などが精緻に再現されていました。また当時清張邸に通いつめていた各出版社の担当編集者が語る生前の清張さんのエピソードもビデオで上映されていて,清張さんの素顔や人となりがよくわかりました。私が若かった頃は,清張さんは歴史ドキュメントやテレビドラマ(清張作品の中の客演)にも時々出演したので,巨匠とはいっても作家として比較的身近な存在だったように思います。清張さんが前半生を過ごした小倉とのかかわりについて,記念館のパンフレットに記載されていた「松本清張と北九州」という一文を下記に引用しました。
松本清張と北九州
松本清張は,北九州で生まれ,その半生を過ごしました。清張の作品の中には,門司の和布刈神事見物をアリバイ工作に用いた「時間の習俗」,朝鮮戦争時の小倉・ジョウノキャンプを舞台にした「黒地の絵」など,北九州を舞台にしたものも残されています。また,清張の自伝的小説である「半生の記」は小倉での生活の様子が当時の風景とともに描かれています。芥川賞受賞作である「或る『小倉日記』伝」も,北九州時代に書かれたものであり,成長にとって北九州時時代は作家活動の原点と言えるでしょう。
個人的に「或る『小倉日記』伝」と「黒地の絵」は読んだことがありますが,「時間の習俗」は未読なので是非とも一読したいと思います。
