花組公演『鴛鴦歌合戦』に寄せる期待 | to-be-physically-activeのブログ

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 夏の花組大劇場公演『鴛鴦歌合戦』の先行画像が発表されました。往年の映画俳優,片岡千恵蔵さん(1903-83年)主演の時代劇映画『鴛鴦歌合戦』の初舞台化という楽しみな趣向です。初日は7月7日なのでまだ随分と先の話ですが,真夏の公演なので肩の凝らない和物の演目は最適かなと思います。

 ポスターでは,浅井礼三郎を演じる柚香光さんと志村狂斎の娘・お春役の星風まどかさんがにこやかに微笑みながら恋の道行を楽しむ様子が鮮やかに表現されています。オペレッタ作品をベースにしているので,演出の小柳奈穂子さんがどのような現代風のアレンジを加えて潤色するのか楽しみです。

 映画の『鴛鴦歌合戦』が公開されたのは,日中戦争真っ只中の1939年です。当時は映画界は空前の活況を呈していたようで,国民の娯楽として粗製濫造に近い形で映画製作が行われていました。『鴛鴦歌合戦』も公開当時はそれほど注目されていなかった娯楽作品のようですが,1980年代以降その価値が見直され宝塚で舞台化されるまで命脈を保ってきました。原作のあらすじはWikipediaなどでも詳しく解説されているので改めて述べるまでもないでしょう。水美舞斗さんが専科に移動してしまいましたが,水美さんに似合いそうな「骨董狂いの殿様」の役を誰が演じるのか密かな楽しみです。

 ところで映画俳優の片岡千恵蔵さんの現役時代の記憶はほとんどありません。戦後の映画で多羅尾伴内や金田一耕助を演じたと記録にありますが,その独特な台詞回しを落語家さん達がモノマネで披露していたことだけが印象に残っています。映画『鴛鴦歌合戦』のスチールには1939年当時の俳優さんが写っていますが,この中で戦後の黒澤映画でも活躍した志村喬さん(1905-82年)のお顔だけはテレビドラマでも活躍されていたのでよく覚えています。1952年の黒澤監督の映画『生きる』の名演技は秀逸でした。

 花組といえば忠臣蔵を題材にしたSFファンタジー『元禄バロックロック』は傑作でしたが,今回の『鴛鴦歌合戦』は世話物に近い内容のお芝居なのでまた新たな魅力を発見できそうです。

 

映画公開当時のスチール写真(Wikioediaより引用)

左端が片岡千恵蔵,3人目が志村喬