雪組御園座公演Musical『BONNIE & CLYDE』で,牧師役を演じた久城あすさん(94期生)の歌唱が素晴らしくて,この物語の展開の中で心に沁みるメロディーに気持ちをもっていかれました。
少年院から脱獄したクライド(彩風咲奈)とバック・バロー(和希そら)兄弟でしたが,バックの妻で敬虔なクリスチャンであるブランチ(野々花ひまり)の説得により自首をする決意を固め,再び収監されることになったバック・バロー。第1幕第7場の「教会を望む川辺」で教誨師として登場するのがバプティスト教会の牧師役の久城あすさんです。経済的困窮と社会の混乱の中で,富と名声を同時に手に入れるためには強盗でもするしかないと腹を括ったクライドとバック兄弟にとって,いまさら神のご加護に頼る気持ちや悔い改める意思はさらさらないのですが,そこは伝統的な教会の権威が息づくテキサス州ダラスが舞台。
牧師が歌う「神は腕を広げて,君たちを正しい道に導くために夜も昼もなく祈る者のそばにいますよ。君たちの声に耳を傾けながら,神は必ず光明にいざなってくれますよ」という讃美歌風の曲“God’s arms are always open”(Lyrics by Don Black,Music by Frank Wildhorn)が,妙に心に響きました。曲調がゴズペル風に展開しコーラスになるところも高揚感を誘いました。
いまや上級生として貴重な存在となった94期生の久城あすさんと杏野このみさん。今回の舞台でも二人の演技や歌唱がアクセントとなって雪組らしい余韻を残してくれました。
“God’s arms are always open”の曲は,ブロードウェイのオリジナルキャスト盤でも聴くことができます。原曲の歌詞を一部引用しました。
Music by Frank Wildhorn
Lyrics by Don Black
Track 7
[Preacher]
God’s arms are always open
He’ll not turn you away
He is there to lead the way for you
Through each night and day
God’s arms are always open
Your voice is always heard
Even though your prayers are silent prayers
He hears every word
[Blanche and Preacher]
No one needs to feel alone
Turn to Him and when you do
His light will shine
And peace will come to you

