モノクロ写真は光の芸術 | to-be-physically-activeのブログ

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 葉山にある神奈川県近代美術館で1月22日まで写真家Man Rayの作品を集めた「マン・レイと女性たち」の展覧会が開催されています。展覧会のポスターに使われているモノクロームの女性像は「リー・ミラー」という作品で1929年に撮影されたものです。自然光に浮かび上がったように淡い光に照られた写真はソラリゼーションという手法を活かした技術とのこと。1920年代のJazz Ageの頃のフラッパーの髪型といえばショートボブですが,写真の女性は短髪ながらブロンドに美しいウェーブのかかった上品なヘア・スタイルが特徴で,引きしまった口もとから顎にかけてのラインと長い首筋の直線の緊張感とともに自立を目指すこの時代の女性像を表現しているように思えます。

 読売新聞の文化欄(2023年1月12日)にマン・レイ(1890-1976年)の略歴と名前の由来が書かれていました。そのまま引用すると,

「マン・レイの父母は,ウクライナとベラルーシ出身のユダヤ系移民だ。本名はエマニュエル・ラドニツキーで,後に一家は「レイ」と改姓する。「レイ」(光線)に,「マン」(英語の「人,男」,仏語の「手」)の名を持つ作家が,光線や手を写真や彫刻などの表現に投影したのも合点がいく。」(文化部井上晋治氏,読売新聞)

 やっぱり人物の写真はモノクロだな,と時代を超越して光を放つマン・レイの写真を見ながら思います。日経に掲載されていた「セオドア・ミラー&リー・ミラー」という父娘をモデルにした作品も素敵でした。

 

参考文献:日本経済新聞2022年8月15日「美の十選」太田菜穂子・著『写真家がいた場所(7)マン・レイ「セオドア・ミラー,リー・ミラー」』