週刊文春12月8日号(2022年)の平松洋子さんの連載「この味」(第558回)のテーマは「真冬の白和え」であった。白和えは日本料理のアクセントには欠かせないお惣菜である。著者の平松さんは「若い頃はたいしてそそられなかったのに,年齢を重ねるにつれて気になる味がある」と紹介している。
たしかに先付けや口直しで白和えが出ても,若い頃は一口でパクリとたいらげて余韻も感じなかった料理であるが,年をとるとこんにゃくや青物野菜の白和えや卯の花だけでもご飯が美味しく食べられるようになる。
記事の中に平松流の白和えの作り方が書かれていたので引用する。手間も時間も省いたショートカット・バージョンとのこと。
<白和えの衣>
- 木綿豆腐をざっくり割り,ザルに入れて,皿を数枚のせて水切り。
- ボウルに入れ,ゴムべらで潰して練り混ぜ,なめらかにする。
- すりごま(練りごまのときもある),ミリン,塩を加えて混ぜ,もったり仕上げる。
豆腐を水切りする15分か20分を除けば,短時間で調理完了できるレシピである。あえて豆腐の裏ごしという面倒な手間を省いている点も便利である。味付けはさっぱり味のときはお酢を少々,コクを出したいときは味噌を少々ともアドバイスされていた。
平松さんは柿の白和えがお好みのようで,白和えの衣に細かく砕いたクルミを入れる工夫も紹介していた。記事を読んでしまったと思ったのは,すでに柿が旬を過ぎてしまったことである。どうせなら干し柿を細く切ってほうれん草の白和えに混ぜても美味しいかな,とちょっと想像してみた。
Kikkoman Home Cookingより引用