英国生まれのミュージカル『マチルダ』が日本でも上演される(東急シアターオーブ,2023/3/25~5/6)。原作は,ロアルド・ダール著『マチルダは小さな大天才』である。5歳の少女マチルダの役はオーディションで選ばれた4名が交代で演じる。クワトロキャストと呼ぶそうだ。
個人的には少女マチルダの良き理解者となる小学校教師のミス・ハニーの役に咲妃みゆさん,マチルダの毒親であるミセス・ワームウッド役に霧矢大夢さんの名前があったので,二人が一緒に出演する回のチケットを予約した。
原作も映画も読んだり観たことがないので抄録から物語を想像した。
5歳の少女マチルダは,生まれながらに高い知能と超能力を持った子供であるが,教育のことなどまったく無関心で自分本位な毒親のもとで育てられた。図書館で出会った小学校教師のミス・ハニーはマチルダの才能を見抜き,みずからが勤める小学校に入学させ面倒を看ようとする。しかし,学校は子供の個性や人権を無視して管理教育で縛り上げるトランチブル校長によって支配されていた。幼いながらもマチルダは,両親や校長から虐待された仕返しをしようと,怒りに燃えて特殊な能力を発揮して大人たちにいたずらで報復を試みる。やがてマチルダは彼女の良き理解者であるミス・ハニー自身も子供時代に虐待にあい不幸な境遇の下で育ったということを知り互いの絆を深めていく。最終的にはマチルダの個性と才能に見合った環境で教育が受けられるようにハニー先生が導いていく,というお話のようである。
5歳の少女ということで,なんとなく頭でっかちのチコちゃんを想像してしまうが,彼女たちのように幼少時から特殊な才能に秀でた子供,すなわちアンファン・テリブル(les enfants terribles)に対して家庭や学校という環境の中でどのように対処していくのかよいのか?そのあたりを舞台を観ながら考えてみたい。難しいことはさておき,英国産のミュージカルなので純粋に音楽劇として楽しむことができればいいかなと思う。久しぶりに聴く咲妃みゆさんの歌唱も楽しみである。