札幌出身の白雪さち花さんが,2022年10月10日付で月組の副組長に就任すると発表されました。退任する夏月都さんの後任ということで,おめでたいことです。
私自身は,白雪さんの艶っぽい演技が好きなので,普段の会話の中では親しみを込めて“さち花姐さん”と呼ばせていただいています。長いキャリアの中で様々なジャンルの作品に出演していますが,個人的には2018年の月組公演『エリザベート-愛と死の輪舞-』のときのマダム・ヴォルフ役が一番脳裏に焼き付いています。
劇中,皇大后ゾフィーは息子である国王フランツ・ヨーゼフが美貌の嫁・エリザベートの言いなりになっていることが許せません。愛する息子を奪われた腹いせに,ウィーンの娼館の女亭主マダム・ヴォルフを宮廷に招いて饗宴を催します。玄人女性と国王フランツとの浮気を画策して,エリザベートの鼻を明かしてやろうという姑としての魂胆です。この有名な場面で歌われるのが『マダム・ヴォルフのコレクション』です。
歌詞の一部を引用します(訳詞:小池修一郎)。
♪ 遠慮せず気取らずに
どうぞ召し上がれ
フレッシュでジューシーよ
今が食べごろ
味付けも食べ方も
あなたの好きに
お好み次第なの
月組公演のときの白雪さんの迫力ある歌唱と演技がとても印象的でした。
現役のタカラジェンヌで白雪さん以外でマダム・ヴォルフ役にふさわしい人を私の好みで各組から選抜すると,美風舞良(花組),千風カレン(雪組),麗泉里(月組),紫りら(星組),小春乃さよ(宙組)[敬称略]の顔が思い浮かびました。歌が上手いだけではだめで,ある程度経験を積まないとマダム・ヴォルフ役は似合わないかもしれません。
今年の秋の東宝版『エリザベート』では,マダム・ヴォルフ役は元雪組副組長の未来優希さんが演じます。もはや彼女の当たり役といってもいいでしょう。
白雪さんが出演していた近作では,舞浜アンフィシアター公演『Rain on Neptune』が斬新な内容で印象に残りました。白雪さんは海王星の住人ラリッサ役でした。物語の展開はともかく,トランプの絵柄をモチーフにしたような舞台美術や個性的な出演者の衣装デザインがすばらしかったです。白雪さんはアントワネット風のピンク色のモコモコしたカツラを着けていましたが,人型のような髪飾りが目を引きました。調べてみると海王星の惑星記号のようです。こんな飾りは市販されてなさそうなので小道具さんや白雪さんの手作りでしょうか?とにかく『Rain on Neptune』は衣装や美術に心を奪われ,白雪さんが歌っている場面は聴き損ねたかもしれません。きっとブルーレイが発売されるでしょうから,そのときを楽しみに待ちましょう。
惑星記号