9/8・9/9・9/10 安房鴨川にて・・・(5) | Free Wind

9/8・9/9・9/10 安房鴨川にて・・・(5)

【9/9 10:00頃 太海駅近郊のSホテル】

 

午前6時半、最も被害の少ない5階の和室が解放されそこで一時休憩。

 

(窓側の畳とカーテンが濡れてるだけ)

 

気温が上昇してるのにエアコンは動かず、強風で窓も開けられない。
暑くて殆ど寝る事は出来なかった。

急遽ホテルが用意した朝食が配られて食べる。
貧相な朝食。。。

午前10時にチェックアウト。
もっと居ても構わないとは言われたけどもうこのホテルに居たくなかった。

「宿泊代は結構でございます。」

 


「結構でございますだと!ふざけるな!それで済むと思ってるのか!台風が原因の雨漏りや停電は天災だから仕方ないが、台風が直撃する事が分かってて老人のスタッフを1人しか残さないとかありえない!その唯一のスタッフが無能で何の役にも立たないとかこのホテルは何を考えてるのか!ラジオもなくて停電の備えも全然足りない!危機管理の”危”の字も出来てないじゃないか!宿泊客の安全を守る気があるのか!その責任をどう取るんだ!ふざけるな!!!」

 


・・・って言いたかったけど呆れて言う気力もなかった・・・

さらばSホテル、もう二度と来ることはない。


ホテルの送迎で安房鴨川駅に向かう。
そこで初めて目にしたのがこの台風の被害の大きさ。

信号はついてなくて、交差点に警官の姿はない。
車は速度を落として慎重に交差点を渡る。

木は倒れ、道路に瓦やブロック壁の破片が散乱。

切れた電線があちらこちらに。

 

街道沿いにあったファッションセンターしまむらは正面の窓ガラスが大きく割れている。
他にも被害を受けてる建物がとても多かった。


【9/9 10:30頃 安房鴨川駅】
奇跡的なのか、何かの対策の成果なのか安房鴨川駅周辺は電気が通ってた。
イオンもマックもデニーズもセブンも営業してる。

風も大分収まり、暑いけど快晴の空。
少し気分も晴れた感じに。


・・・この時は心のどっかでまだ状況を甘く見ていたんでしょうね
・・・本当の苦難はこれからでした


もうとっくに当初の旅程は放棄してて、今はどうやって帰るかが至上命題。

JRは外房線・内房線ともに運休を早々発表。
残るは高速バスのみの状況。

 

(高速バスの時刻表)

 

運行会社の殆どは公式HPで運休を発表したり、何の記載も無かったりで、

”運行予定は未定”と可能性を残してるのは京成バスのみ。

京成バスは1時間ごとに公式HPを更新していてその状況を見つつ、
最悪もう1泊も考慮して宿探しも平行に進めるのが基本スタンスでした。

12:00
13:00
14:00
15:00
16:00

京成バスのHPはずっと”運行は未定”のまま。
ここで改めて道路交通情報を確認すると南房総の高速道全てが全然再開していない。
(この時はあそこまで倒木被害が多かったとは知らなかった)

 


ここに至り、
今日の高速バス再開はないと判断し、鴨川にもう1泊を決めた。

 

同時に「陸の孤島」という言葉の意味を身をもって実感した瞬間でもありました。

 


が、遅すぎた。。。判断が。。。

片っ端から鴨川周辺の宿泊施設に電話をする。
1泊2万のホテルから民宿まで。

でも停電で電話が繋がらなかったり、満室だったりして部屋を確保することは出来ず。。。

せめてお昼に判断してれば・・・

もし次同じような事態に遭遇したら次の日の移動は基本諦めて早々に宿を取る事を誓った夕方4時でした。


嘆いても仕方ないので次の行動に。

もともと1泊2日だったので着替えはもうありません。
検索したら歩いて10分弱の所にコインランドリーがあるみたい。

行ってみたら、、、停電で臨時休業。
駅から少し離れただけで辺り一体停電でした。
ガッカリ。

戻り際にマックとデニーズの営業時間の確認。
マックが午後23時までで、デニーズが24時間営業。
なるほど。

 


次に駅の東口に移動。

周囲に銭湯の類はなく、汗を流す術なし。
なので汗拭きシートと服の消臭スプレーを買いに駅周辺で唯一のコンビニのセブンへ。

店内の食料品と飲料は品切れが続出。
レジ待ちの客が長蛇の列。

それを見て何か起きてから食料を買い求めるのは下策だなと。
ちゃんと備蓄をしようと思い直しました。

 

大震災の後にもそう思ってたのに年月が経ってその気持ちが薄らいでいた。
ちゃんと思い出そう。


公衆トイレで体を汗拭きシートで拭く。

何回も。
ちょっと気持ちが晴れた。

その後、駅の待合室に入る。
エアコンが効いてて過ごし易い。

そこにはキャリーケースや大きな荷物を抱えた人がたくさん。

たぶんオレと同じ旅行客なんだろうね。

 

外国人の姿も多い。
電車が運休と知らず駅に来た外国人の家族が途方に暮れてる。

外国人旅行者にとってこの状況は厳しすぎる。

 


そして鴨川で迎える2回目の夜がやってきた。
(続く)