近年、“究極の抗加齢”としてアメリカのセレブの間で流行しているのが「成長ホルモン」。成長ホルモンって一体なに? どのような効果があり、どうすれば成長ホルモンを分泌しやすいカラダになるのでしょうか?

成長ホルモンとは

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成長ホルモンは脳の「下垂体」という所から分泌されるホルモンで、その名の通り、身体の各器官に働きかけて成長を促したり、傷ついた組織を修復したりする作用があります。実際、成長ホルモンを注射し補充することにより、80%以上の方に活力の増強・健康状態の改善、60%以上の方に美容効果・体脂肪の減少、運動能力の向上・性的能力の向上、50%以上の方に認知機能(記憶力など)改善が得られたとの報告があります。ハーバード大学医学部の調査によると、このような事実から、医学的に一定のコンセンサス(見解)が得られていないにも関わらず、年間2〜3万人ものアメリカ人が「成長ホルモン補充療法」を行なっているとされています。

老化の大きな要因は「成長ホルモンの減少」

成長ホルモンはカラダが大きくなる思春期に爆発的に増加しますが、そのピークを迎えた後は急速に低下し、30代には最大分泌量の50%以下、70歳代では30%以下の分泌量となってしまいます。

最もその変化を理解しやすいのが「基礎代謝」。基礎代謝は思春期に3000kcal以上ありますが、大人になるとその半分程度にまで落ち込んでしまいます。思春期に1日5食も食べたとしても太らなかったのに、大人になった今では食事量をこれまでの半分以下にしてるにもかかわらず痩せない、ということを経験したことはありませんか? これは成長ホルモンの減少によるものだったのです。

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その他、眠りが浅い、睡眠時間が短くなった、疲れが取れない、集中力低下、気力低下、肌のくすみ・シワ、筋肉が減った、脂肪がつきやすくなった、などの症状の根幹には成長ホルモンの分泌量低下があります。まさにこれは老化で認められる症状であり、成長ホルモンの抗加齢効果に注目が集まっているのです。

成長ホルモンの7つの抗加齢効果

成長ホルモンに期待されている抗加齢効果について詳しく解説しましょう。

(1)脂肪を減らす:基礎代謝が上がり、脂肪が燃焼されやすい体質になります。

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(2)骨を丈夫にする:骨がもろくなり骨折のリスクが上がると、将来「寝たきり」になる可能性が高くなります。「健康長寿」を追求する海外セレブの中には、骨粗しょう症予防のために成長ホルモン補充療法を行なっている人もいます。

(3)筋力アップ:成長ホルモンは筋肉を作るのに重要な役割を果たします。成長ホルモン分泌量の違いで10%以上の筋肉量の違いが生まれると言われています。

(4)肌艶を改善する:成長ホルモンには抗利尿作用があり、カラダから水分が失われるのを防ぐため、肌の色艶が改善したとの報告があります。

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(5)病気のリスクを下げる:成長ホルモンが低下すると動脈硬化が進行しやすいことが知られています。動脈硬化が進行すると心筋梗塞や脳梗塞などの突然死につながる病気のリスクを抱えることになります。

(6)認知症を予防する:成長ホルモン分泌不全症の患者に成長ホルモンを投与したところ、認知機能改善を認めたとの報告があります。今後増加の一途をたどるであろう、認知症患者への予防薬として期待が高まっています。

(7)糖尿病を予防する:内臓脂肪が減少することによって、インスリン抵抗性が改善(=インスリンが効きやすくなる)し、糖尿病予防に繋がると期待されています。

*医療行為としての成長ホルモン補充療法には副作用も報告されていますが、それについては本稿の趣旨と外れるためここでは割愛します。

老化へのカウントダウンを止めるには

老化へのカウントダウンを止めるには、成長ホルモンが分泌されやすいカラダを作る必要があります。どのようにすればいいのでしょうか? 以下に3つのポイントを解説します。

体脂肪を減らす
体脂肪の量は成長ホルモンの分泌量に密接に関係します。肥満の人たちは、普通体型の人と比べ、成長ホルモンの分泌量が半分以下になると報告されています。

高強度の運動をする
運動は成長ホルモン分泌を促す最も効果的な方法と言えます。どんな運動でもその効果は期待できますが、特に運動強度によってその分泌量は大きく増減します。下図の通り、休憩時間が短い高強度運動の場合、血中の乳酸濃度が高くなることで、成長ホルモン分泌量が増加します。この効果を得るには、ダラダラ運動するより、15分を目安に追い込んでトレーニングを行うのが効率的! 特に、スプリント (疾走) トレーニング、インターバルトレーニング、サーキットトレーニング、ウェイトトレーニングは成長ホルモン分泌量が特に多く、運動による消費カロリー以上に体脂肪を減らすことが期待できます。

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ゴールデンタイムをベストコンディションで
成長ホルモンは、寝ている間に最も多く分泌されます。そのゴールデンタイムをベストコンディションで迎えましょう。そのためには以下の2点を参考にしてください。

糖分は少なめに
白米などの精製穀物や糖分は、インスリンの分泌を増やしますが、一方で成長ホルモンの分泌を減少させます。糖分の取りすぎは太りやすいだけでなく、適切な抗加齢ホルモンの分泌を邪魔してしまうので注意が必要です。特に、寝る前の2〜3時間前、糖分やタンパク質の多い食事は避けてください。

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サプリメントを活用する
GABAやメラトニン、アルギニンなどは脳の神経伝達物質の材料になります。脳神経を落ち着かせ、スムーズな入眠効果が期待できます。

ファスティング(断食)は諸刃の剣! やり方には注意が必要

デトックスや腸内環境を整えるなどを目的として、ファスティングを定期的に行なっている人、また、やったことがある人も多いと思います。成長ホルモン分泌量を増加させる点においてもファスティングは有効です。ファスティングをすると、血糖値を上げるために成長ホルモンが多く分泌されます。その量は1日の絶食で2倍以上に。成長ホルモン分泌量が増えることに加え、体重も減るので効果は絶大!?と思うかもしれませんが、実はそうではありません。細胞の修復・再生を促す成長ホルモンですが、長期間ファスティングを行うと、細胞を修復するための材料が不足してしまい、組織が壊されてしまいます。やり方を間違うと逆効果になってしまうのです!

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そんな諸刃の剣のファスティング。様々なノウハウが散見されますが、「8時間で2食+スナックはOK、その後16時間は何も食べない」という方法は、アメリカで推奨しているドクターがいますし、医学的・栄養学的にも無理のない方法と考えられます。

以上、究極の抗加齢ホルモンである「成長ホルモン」について解説しました。成長ホルモンが“皮膚の抗加齢”などと大きく異なる点は、成長ホルモンが脳、胃腸、皮膚、筋肉、骨など「全身の老化」と密接に関係し、老化現象の「根本的な原因」であることです。疲れが取れない、意欲がわかない、肌のくすみ・シワが気になる、太りやすい……が気になる人は、まず「成長ホルモン」に着目した生活習慣の改善を心がけてみてはいかがでしょうか。




引用元:究極の若返りスイッチ「成長ホルモン」とは?