上手に甘えるとは、猫なでで声を出したり、自分を低く見せることではありません。
いつ・誰に・何を・どれだけあてにして良いかのバランスが取れた行動のことです。
相手に何かして欲しいとあてにするのに、声高に「あなたは○○すべきだ」と命令したり、
「あなたが○○してくれないなら…」と脅したりするのではなく、心から当てにしている気持ちを伝える、それが上手な甘えです。
相手に甘えるというには、言い換えれば「あてにしている」「信頼している」というサイン。
そして同時に、そのままの自分を出しても見捨てられない、みくびられない、という事。
欠点だらけの自分を見せても大丈夫、ということなのです。
ただし間違えてはいけないのは、
「このままの自分でいい」「受け止めてもらえる」という事は、今のまま変わらなくても良いという意味ではありません。
「このままの自分でいい」というのはすなわち、「このままの自分で成長していける」「成長していく価値がある」ということ。
変わりたくない、成長したくないという人は、「自分はこんなに不幸だ」と並べ立てることがあります。
それを聞かされた方は、「まいった」としか言いようがないわけで、これは脅迫に近いです。
つまり、成長しないですむために「不幸」を脅しの材料に使ってしまうこともあるのです。
成長したくない、大人としての責任を取りたくない…このような想いが背景にある甘えは、更に自分を肯定できない悪循環へとハマってしまう可能性があるのです。
だから甘えのバランスを学ぶことは大切です。
まずは周囲の人をウォッチングしてみるといいでしょう。
人に物を頼むのがうまい人はいませんか?
うまく雰囲気を盛り上げて周囲に協力関係を作り上げる人はいませんか?
肩肘張らずに弱みを見せることも出来、かといってべったり甘えて打ち明け話をするのでもない、上手にバランスを取っている人はいませんか?
そんな人のやり方を観て、その相手の反応も観察してみてください。
その人をモデルとして、一つずつ目に付いた言葉や態度を真似てみる。
こんなときどうしたらいいかな、と迷った時は、その人だったらどうするかなと考えてみるのも方法のひとつです。
人生のモデルというのは大切で、「坂本龍馬」をモデルに生きてみようと思ったらこのご時世大変ですが、この身近でうまく生きている人をモデルにするという事が大切です。
家庭、職場、学校など、どんな場でどんな相手に、どこまで自分を出すかを切り替えていく。
何を期待するかを分けて考える。それがバランスを学ぶ練習です。数学や日本史や国語や英語も大切ですが、こういったバランスを学ぶのは集団の中でしか学べないものですから…。