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口遊〜鳴きウサギ〜

鳴きウサギ|Nakiusagi
静かに鳴く小さな声のウサギ。
青薔薇の咲く場所で、和歌・童話・詩・願いを綴っています。
2009年より、呟きのように日々を記録。
noteでは「舞香亭幻想香炉」という物語の香りを、そっと灯しています。

https://note.com/nakiusagi44

 

 硝子の底の一年


時は
すでに
通過している


砂時計の中で
砂は落ち
硝子の底に
小さな地形をつくる


それが
わたしの一年

色は乏しく
名を与えるほど
整っていない


求めたものは
すべて
この淡い砂の中にある

触れれば
指の間から
沈黙がこぼれる


笑い
怒り
泣けなかった午後
微かな歓び

それらは
同じ重さで
堆積している


時は
折り畳まれた布のように
静かに持ち去られ
古いものを
懐かしむこともなく
遠ざかる


二度と
同じ形では戻らない
その事実だけが
錆びた 釘のように
胸に 残る


残酷だと
言葉を投げても
空気が
少し揺れるだけだ


終わりを
美しくする必要は
この世界には
ないらしい