picture by Gemini
因の糸 果の花
早朝の電車は、まだ夢の名残を揺らしながら
静かな町の間を滑る
窓の外、霞む住宅街に
遠き記憶の古里の田畑と重なり
幼い日の足音がひそかに宿れば
母の呼ぶ声が 風に溶けて漂う
線路沿いの小川は
霜の銀色の光をひらひらと映し
記憶の糸をそっと引き…
過ぎ去った日々を巻き戻す
糸の先には、果てしない光の花が咲き
今を生きる 私の胸を
ひとひらの幸福で満たす
揺れる車窓の向こうで
遥か故郷は静かに息づき
時の流れと記憶の糸が交わる場所に
わたくしはただ…
光と香りのなかに立っている
『縁起とは
「すべてのものは単独で存在せず、
互いに関係しあって存在する」
仏教用語では因縁生起という
おそらくわたしもまた…
その恩恵に預かっているひとり…』
