白の積もる部屋
色褪せたキャンバス
何も起こらないまま
立てかけられ
埃だけが
時間のふりをして
積もる
白い布は
死人に似ている
あるいは
まだ生まれていない絵に
時は経る、という
都合のいい言い方
埃と雪は
同じ速度で
黙る
沈黙は金だと
誰かが言った
その人の手は
どこまで
白かったのだろう
窓の外
街路樹の光が
増殖して
部屋のキャンドルは
存在を
放棄する
眠れない夜に子守唄
だれがうたう?
機械のない夜に
わたしだけが
音を待っている
誰か
歌わなくていいから
ただ
雪のように
そこにいて…
果てしない闇に
終わりなく白が積もる…
✳︎ たとえば尊敬する詩人の影を追ってみる
ポール・ツェランやロジェ・ジルベール
みたいに…

