ー声ー
わたしは
その声を 知っていた
どこ というわけではない
いつ ということでもない
意味を知らない 音の塊
扉が 開かれる
わかる言葉だけがふる
生にしがみつくものは
もはや 死に
生を軽んじるものは
行方を失う
死をも生をも気にせずに
淡々と過ごす
一握は 自ら判断するなかれ
その声の主は
女でも男でも 人でも機械でも
自然のそれとも 違った
ただ わたしは
その声を 知っていた
獲りに行こうとした
勝ちに行こうとした
満たされようとした
その声は捨てよと言った
重さの全てを…
わたしは…
その声を ほんとうは
初めから知っていたのに…
気づかぬふりで
荷物ばかり背負ってきたんだ…
大それたものに挑んで 負けて初めて目が覚めて
軽くなる
失って気づく。バカな拘り。
何にも無い私が 一番軽いことを…
鳴兎
