声 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

鳴きウサギ|Nakiusagi
静かに鳴く小さな声のウサギ。
青薔薇の咲く場所で、和歌・童話・詩・願いを綴っています。
2009年より、呟きのように日々を記録。
noteでは「舞香亭幻想香炉」という物語の香りを、そっと灯しています。

https://note.com/nakiusagi44


ー声ー



わたしは

その声を 知っていた


どこ というわけではない

いつ ということでもない


意味を知らない 音の塊


扉が 開かれる


わかる言葉だけがふる


生にしがみつくものは

もはや 死に

生を軽んじるものは

行方を失う


死をも生をも気にせずに

淡々と過ごす

一握は 自ら判断するなかれ


その声の主は

女でも男でも 人でも機械でも

自然のそれとも 違った


ただ わたしは

その声を 知っていた


獲りに行こうとした

勝ちに行こうとした

満たされようとした


その声は捨てよと言った

重さの全てを…


わたしは…

その声を ほんとうは

初めから知っていたのに…


気づかぬふりで

荷物ばかり背負ってきたんだ…



大それたものに挑んで 負けて初めて目が覚めて

軽くなる

失って気づく。バカな拘り。

何にも無い私が 一番軽いことを…


          鳴兎