痕跡のない 悪夢 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

鳴きウサギ|Nakiusagi
静かに鳴く小さな声のウサギ。
青薔薇の咲く場所で、和歌・童話・詩・願いを綴っています。
2009年より、呟きのように日々を記録。
noteでは「舞香亭幻想香炉」という物語の香りを、そっと灯しています。

https://note.com/nakiusagi44

 痕跡のない 悪夢


真夜中に 跳ね起きる


魘されていたのだと
あとから 理解する


夢を見たはずだ
確かに


――あれほどの悪夢が
他にあっただろうかと
思うほどには


なのに

何も 残っていない


ただ
喉の奥に引っかかるような
吐き気だけが

ここにある


夢は
いつも 形を持たない


良く言えば 消化
悪く言えば


痕跡を残さない暴力


ならば これは

夢のせいなのか


それとも

わたしの内側が

先に 

壊れはじめているのかもしれない