地蔵盆 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ー地蔵盆ー

とおきひの ゆめとおぼしき
地蔵盆
見えぬ歴史に菓子賜りし



むかし 子どもの頃…
夏休み前だったと思う

学校が半日の帰り道 お地蔵さまの前で お母さんたちが お菓子をたくさん配ってくれた
子どもたちが アリみたいにたかる

あっちの地蔵も配ってる…こっちもだ!
ずいぶん回り道して帰った。

家に着く頃には 持ち切れないお菓子の山
スカートに乗せてこぼさないように歩いた。
ランドセルでよかった。

祖母が笑った。地蔵盆のお接待を受けたか…
ありがたいね…ちゃんと手を合わせたか?と

まだ 田畑の点在する田舎に住んでいたウサギ
道々地蔵さまはたくさん見守っておられた。

田畑だけでなく 商店や病院や ふつうの家の角の影 お習字の先生の敷地や ピアノの先生のお家…いつも行く駄菓子屋さんの角…

お地蔵さまはどこにもあり お花が飾られ 綺麗なエプロンやスタイをつけて 帽子なんかもかぶっておられた…お化粧までしてたりする地蔵さまも…笑

地蔵盆は 関東圏では馴染みが薄いと聞くし 関西圏でももはや失われてしまいつつある風習だ。

旧暦の盂蘭盆の頃行われる行事だが 自治体や親の都合で 土日に行われたりしていたが すっかり廃れたところもあるらしい。

げんにウサギが子どもの頃盛んであったけれど
今はもう見ないとは 母談…

地蔵盆とは お寺に祀られた地蔵さまのお祭りじゃなく 道々にあったり 辻にあったり 道祖神化した地蔵さまのような神々を祭るものである

お菓子をくれる、イコール 優しい イコール 大切にしなくちゃ 子どもは至って素直であるから 野辺の花を摘んでは 学校帰り 手を合わせたり 行ってきますをしたり、感謝を覚えてゆく

地蔵や道祖神は子どもたちを愛しく見守ってくださる。

大人になり 土地を興すとき それに触れる恐ろしさも知るわけである

そのような行事を面倒だから 忙しいから スタイリッシュでないから でなくしてしまうから
この世はおかしなことになってゆく…

お盆だからこそ 考え直したいこと…
御先祖さまの 御帰省と共に…

ウサギは仕事…
コロナのせいで帰省できないし、帰省して歳老いた親に迷惑かけたり こころない謗りを受けぬよう今年は働きながら恩返し。御先祖さまへ。

お許しください。何にもできぬこと。

みなさま 良きお盆を…