ミチシルベ | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ーミチシルベー


変化の前に岐など
取るに足りない ことだったのね…

どのような変化か?って
敢えて言わずともわかっているはず

あなたは道を選んだのよ
新たな道を…

わたしの知らない道を…

自分でも気づかない程に
光の速さで…

そうしてわたしは
最初に約束した通り
変わらずに残り…

あなたの行方を照らす
ミチシルベになることに決めていた

もとよりあなたは
わたしを探していたのではなく
道を指すものを探していた

夕暮れに戸惑い
朝焼けに頭を抱えたときに

わたしの指先だけを
指す方角を探していた…

だあれも わたしを探してなど
いない…

だって 明けゆく光の中の
あるいは 暮れゆく光の中の
僅かに残る プリズムのような存在に
過ぎない…わたしは

あなたが昨日のわたしを探しても
同じわたしはどこにもいない

多面多色に発色して
やがて消えてゆく ミチシルベ…

さよならもはじめましても
おなじようなもの…  

わたしたちは出逢い別れてはいない
最初から

あなたはわたしを見ていない

ただぼんやりと指先を
見つめていただけ…

さあ 行きなさいな…
ランプを掲げて見送るから…

分岐する途に佇む矢印の
先は
見えねど風は押すなり