ひとり舞台 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ーひとり舞台ー

花ひらいた方が幸せと
多くの人は言うんだけれど
手のうちを明かしてしまった花よりは
秘して 枯れてゆく花の方が
幸せなような気がするのは
わたしが 天邪鬼なせいなのかも
しれない…

虚飾の物語の一生に
悲喜交々の舞台の上で
ほんとをどれだけ語ったかと
胸を張って言えるのか…

重い緞帳を降ろすとき
誰に向かって深々と
こうべを垂れるつもりなのか?
わたしは…

人生は フレッド・アステアの
タップのようにはいかない
マリア・カラスの
アリアのようには
歌えない…

下手くそで下手くそで
仕方ないのに 
もう一回は 許さない…
観客なんかだーれもいない
だけど だれかに見られている気がする

お空の上の偉い人
羽ばたきたいわたしは
羽ばたけない 醜いアヒルのまんまでも
いつか雲雀のように ねぇ…
高く 高く…飛びたいね…

地上から
飛び上がりても
数十センチ
重力を恨む 朝には
透明な風と身を変える
夢を見る…

せめて飛べ
言葉よ 翼を持ちて
飛べ
地に縫われるという
呪いを穿て…