ー勿忘草ー
数々のあらゆる災害による御霊に寄せて
蒼紫の勿忘草が
咲く頃には
いつも思い出す物語
誰にもある忘れられない
物語…
勿忘草は 花序がサソリの尾の形
毒は持たないけれど…
それも思い出に似てる
思い出にも毒はない
ただ…痺れと疼きと…
悲劇の起きた朝の恐怖…
勿忘草の伝説は
たとえばドナウ川の悲しい伝説…
恋人に送る花を摘もうとした騎士
誤って水に落ちた騎士…
Vergiss-mein-nicht!
僕を忘れないで…!
最後の言葉…
勿忘草…
なんと寂しい名前を持つ花
なんと美しい名前を持つ花
時を過ごすことはできても
泣かなくなることはできても
君を忘れることだけは
生涯できない…
勿忘草は風に揺れ
群れて小さく囁く…
うたうように…
Vergiss-mein-nicht!
True forget-me-not!
僕を忘れないで!
嗚呼…どうして
おまえを忘れられようか!…
どうして
おまえを忘れられようか!…
我が魂が勿忘草を掻き集め
君が御側に
いつか
ゆく也
君褒めよ
勿忘草を抱く吾を
けふまでよくぞ
忘れずに来しと
阪神淡路震災も東日本震災も
熊本大地震も他の多くの日本で起きた
災害も、世界中の悲劇も
忘れずにいたいと思います
春の勿忘草の咲く日に
true forget-me-not!