ー納涼ー
鳥獣戯画の不自然は
蛇草叢より這い出て
長閑な庭が一変する
蛇はいつでも嫌われもので
いつでも誰かの何かを
狙い定めて生きる象徴
冷たい鱗の下にまた
冷たい赤い血を宿し
冷たい業を抱きながら
地面を這って生きている
何が辛かろう
悲しかろう
耳まで裂けたこの口が
おまえの命を喰らうとき
おまえは小さく鳴きながら
昔のわたしを思い出し
昔のわたしの名を呼んだ
恨みの上にとぐろを巻いた
わたしを蛇に変えたのは
優しいおまえ 弱いおまえ
気ままなおまえ 移り気なおまえ
悲しいおまえ…
わたしのことをずっとずうっと
守ると約束したじゃあないか…
嘘つきなおまえは
わたしの腹に呑んで呑まれて
血肉になって…
蛇や魚の鱗の一枚で
朝露の中 光るだろう
わたしはわたし
蛇や魚と成り代わり 自然の摂理そのままに
因果応報 報いとて
幾度脱皮を繰り返し
十重も 二十重〈はたえ〉も山巻くほどに
大蛇になって退治され
或いは天を駆け巡り 雷鳴さえも轟かす
いつか大河を砕くだろう
そして新たな緑生まれて
新たな大地形成され…
人の営みは枚挙に暇無し…
さても悲しい転生の
人に固執の鬼になるなと
不自然な鳥獣戯画に
暗黙のうちに読み解ける
それでなくとも この星は
天変地異や 病に戦蔓延する
人に愛こそ無くしては
生きては行けぬ 藍の星…
執念の先に明るき陽は差すか
闇闇雲に百鬼夜行ぞ
離れて見よや我が身をや
鏡に鬼は映り給わむや
きりきりと弓引きしぼる執念の
弓矢は自己に還る弓矢ぞ
夏は…逝き 納涼…
少し怖いものを書いて見ました。
固執、執念、執着が縛を産みます。なんの生産性もありません。
先を歩きましょう。
ウサギの夏は 懐かしく終わりました…
