見送る跡に 見る朝は | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ー見送る跡に 見る朝はー

白々と 夜の明けて
知る人の ひとりまた去りし
夜の明けて

世界は何も変わらずに
朝の景色は
美しく 留まることなく
流れてゆく

人の命の小ささと
人生などを語ってみても
今朝は朝露 白い霜
吐息のように空にのまれて
ああ この世で起きたことなど
まこと夢であるのだと
くりかえし くりかえし
思うのです

ならば せめて何も考えず
精一杯 潔く
思う様 泣いて笑って
呆れるほどに
あっさりと 立ち去りたいと
思ったのです

我がままも 意地悪も
アクセサリーにするみたいに
ガチャガチャと鳴らして
わたしは 騒いで
あっさりと 祭り囃子の
賑わいみたいに
あなたの前を 色んな表情で
すぎていこうと思います

だけど出逢いって不思議よねぇ…
限られた人の前しか
わたしは お囃子を鳴らせない

あなたに逢えて良かったわ
あなたにゃ迷惑かけるけど

ほんにうるさいわたしだけれど
もうしばらくは
お祭りのお囃子のような人生を
味わわせてね お願いいたします

なあに…もう それほど長いことじゃない
月の光に誘われりゃ
月へ帰るよ 兎もいつか…

長きごと思えし人の一生は
 ゆふべ生まれて夢のうち死す