島津紅 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ー島津紅ー


咲き誇る
花は笑みつつ
吾にいふ

花たまゆらこそが
美しき

ほとがらなどに
納め給ふな

皐月の曇り空の下
少し翳りのある中に
あらん限りの紅
綻ばせ
名をぞ
島津紅といふ

こうべの重き花なれば
こうべを低く垂れて乞う

今ひとときを
咲くと思えば
散る刹那さへ
潔く

名を牡丹とぞいいにける

大輪にして生まれしが
身のさだめゆえ
重く短き生涯も

紅蓮の如き生涯も
なべて悔いなし
惑うことなし

灰を降らする
火の山の命を分けし
島津紅とぞ…

ーうたー

あずまにて身を置く吾に囁くは
ゆかし名を持つ紅牡丹哉

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