ーactressー
幾度も繰り返し訪れる苦しみを
手探りのまま 潜り抜け
目覚めた朝の茫然自失は
過度の疲労と消え行く夢の欠片を握る
あなたと居て わたしに何が残ったか…
点滴の雫は重く身に沈んで行くけれど
いっこうに夜明けの見えない悪い夢を
見るようだ
いつか あなたは言った
君は真綿だ
僕は水だ
大きなうねりとなり
君を呑み込もうと何度も試みはするけれど
全部吸い込まれてしまう
君は僕を殺すつもりかい？と…
わたしは応えるのを躊躇った
死ぬのが怖いなら
愛を選ばなければいい…
ほんとうはそう言いたかった
覚悟も観察も無しに堕ちた愛は 愚かだ…
愚かなら それなりに腹を括らなきゃならない
未来永劫日の差す日など 望まずに
進めば ともすれば気紛れな神も
あるいは 微笑むかもしれない
重い身体の向きを窓辺に向けて あなたの
言い分は 正しかったわ と囁いてみる
むかし有名な作家が言った
恋愛はある意味 お芝居…上手く演じなくては成立しないと
あなたは上手く演じたつもりか？ここにはいない
水のあなたはわたしに殺ろされたように
逝ってしまって…
真綿のわたしは あなたと言う水を
吸い込み過ぎた…
酷く…重い…
でもね…
お終いまで見て…
わたしはもうすぐあなたを追うから…
それが 初めから仕掛けたあなたの
演出であったことを わたしは知っているの