ー短歌 薔薇の刻印ー
季を知るも時は見ずして花弁の
巻き一筋をほどく春薔薇
物語語る言葉は持たねども
薔薇は歴史を色に移して
薔薇の憂ひのしらべ伴する
君は早遠き異国の土の下
今年も咲くか薔薇の墓碑は
胸躍らする恋もありけり
語るには幾重薔薇の花弁の
重なりの如く苦痛ある愛
血を流しても慕う恋あり
心ひとつ砕け散らずに愛などと
な呼びそ真実貫け
愛は憎しみと悲しみと僅かの幸福の上にあり
あまりの儚さに 心ずたずたになるけれど
真実知らずに死んでゆくなど 人として生まれた甲斐もなく 人として生きた喜びも無い
失っても 愛は
あまりに大きな薔薇の刻印を我が身に
残して行くことだ
君よ
誠を知り給へ
不毛の原に薔薇の愛咲かす
人として