あれから 20年 短歌 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

寒さのうちに 揺れる大地は 人に厳しい試練を与える

なにが悪いのでもなく 誰が悪いのでもない

あの日 地の胎動の上 わたしたちは いつ潰えるともしれぬ命の灯火を持ち寄って

息を潜めて生き延びた

大切に生きて 大切に生きて 大切に生きた命が 一瞬にして喪われ

残されたものは 嘆きに暮れた

あの寒い日に あの寒い朝に 揺れた大地・・・

神は それでも見ておられる

あれほどの試練を与えて於きながら わたしたちに黙したまま

わたしたちの生き様を わたしたちの在り様を・・・

嗚呼 けれど 神をなぜ 恨むことが出来ようか・・・

神の仕業であるという証は無く ただひとえに地の胎動なのだから・・・

この世にすべての答えなど無い・・・

誰も答えなど持ち得ない・・・

すべてを叶える能力など すべてを救える能力など

すべてが 満足できる世界など 「無い」 のだ・・・

わたしたちは 赤子のように ただ 泣き叫ぶ

そうでありながら 限界ぎりぎりまで 力を尽くす 
最善を 最良を その時できるすべてを やるほかはない

いずれにせよ・・・

あの日 失われた 尊い数々の命は 今は安らかであると信じたい

少なくとも 残されたわたしたちが 懸命に生きる限りは

きっと安らかであると 信じたい

わたしたちは 失われた命に応える勤めがあるのだ

あの優しい笑顔 柔らかな言葉

いつか 逝く同じ世界で きっと待っていてくれるのだから・・・

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

阪神淡路大震災から・・・20年 数々の方にお世話になり ウサギもこうしてなんとか生きています 関西の方々には 筆舌に尽くしがたいほど お世話になりました 一緒に泣きもしました

もう 20年・・・早いものです なぜ この国は 未曾有の震災が よりによって寒い時期に起きるのか不思議でなりません あまりといえばあまりにも 酷な話です

ただ この国の鼓動は あまりに激しく この星に産声を上げたわたしたちは なにより打たれ強く 辛抱強いはずです そして 優しいはずです

それを もう一度 認識できるのです 数々の尊い命が それを教えてくれるのです
明日を 見つめなさい 明日を しっかり生きていきなさいと・・・

1月17日 阪神淡路大震災 数々の犠牲に合われた方々に寄せて・・・

   鳴兎   合掌

暁にむずかる友の子を抱きて
寒さを避けし 喧騒の小屋

煮炊きする食材の数の満たさざれば 分けて頂く水有難し

ガス菅の這う町並みを走りたる 命惜しまぬレスキューの服

泣き声と罵声飛び交う街並みは これぞ地獄と我は凍てつく

地獄絵の中に手を取り 見も知らぬ赤の他人の手ぞあたたかき

訃報のみ八次早にぞ聞きにけり 祈るほかには力無き吾


当時・・・ウサギが メモ帳の端に書きとめ 下手くそながら取っておいたもの・・・そのまま一度も出さずにいました 20年経ってやっと・・・下手ですけど・・・一杯一杯の状態で詠みました・・・わたしは 友の子どもを抱っこしてました・・・