短歌 病巣 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

鳴きウサギ|Nakiusagi
静かに鳴く小さな声のウサギ。
青薔薇の咲く場所で、和歌・童話・詩・願いを綴っています。
2009年より、呟きのように日々を記録。
noteでは「舞香亭幻想香炉」という物語の香りを、そっと灯しています。

https://note.com/nakiusagi44

ー短歌 病巣ー

しはぶけばそびらに君が手当てする 
そのたまゆらに幸はきはまる

熱の日に背骨を数ふ人の指 
 吾が経脈のひふみよと開く

レントゲンの影の白さや病巣も
吾が血肉なら愛しくもある

傷つきし君が心の繊細を
     吾が亡き後は誰ぞ綾織る

だれぞ知る君の開かぬ御心の
    奥処に閉ざす寂しき小部屋

人はいさ吾は語らぬ笑みの下
    忍び音ならば清くありたし

いつの日も後ろ姿を見送りて
    残る我が身は絵にならなくに

熱の下君の名前を呼べもせで
   空には月も浮かびえぬ夜

君の背を見るもかなはず東京の
 駅改札を吾は流るる

病など口実にせし浅はかは
 送るに辛き君を見ぬため

いつはりの笑み見抜かるる不器用さ
  下手な道化と蔑まれおり

まだ熱の下がらぬ夜に降る雨は
  そびらに寒く君はつれなく

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鳴兎   東京のとある場所から…