ーうたー
大寒の凍て付く風をとうせんぼ
款冬華(ふきのはなさく)ころとなりけり
(daikanno itetukukazewo tousenbo
fukinohanasakuko korotonarikeri)
ー款冬華ー
声を出せずに居た冬は
未(ま)だ 花も見ぬ 雪の中
氷の割れるしらべを聞いて
水のせせらぐ 音聞いて
こよみをいくつめくるなら
陽のあたたかき 春になる・・・
こたつ机に つっぷして
やかんの湯気の向こう側
眠くなるような静けさの
ふくら雀の遊ぶを見れば
まどろむ夢のその中に
いつのまにやら ゆっくりと
款冬華(ふきのはなさく)ころとなり
わたしは 慌てて顔を上げ
ほっぺたに付いた 着物の痕を
あかくして あかくして・・・
嬉しくて 蕗の薹を
探しにゆこう
星の形した 蕗の薹を
雪間を 割って 探しに行こう・・・
声を挙げ 鳥のように・・・
春告鳥の真似をして・・・
まだ 真綿みたいな雪の中・・・
画像提供 十五夜さま
ー句ー
大寒の季をくぎるかな星の花
(daikanno kiwo kugirukana hosinohana)