弟切草 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

鳴きウサギ|Nakiusagi
静かに鳴く小さな声のウサギ。
青薔薇の咲く場所で、和歌・童話・詩・願いを綴っています。
2009年より、呟きのように日々を記録。
noteでは「舞香亭幻想香炉」という物語の香りを、そっと灯しています。

https://note.com/nakiusagi44

ー弟切草ー

秘密は 守るべきなのだ
口を割らぬから 秘密といふのだ

漏らしてはならぬ 弟よ
当家秘伝の薬のことは
漏らしてはならぬのだ

おまえの 首を刎ねたところで・・・

漏れてしまつた 秘薬の意味は
巷に流れ広まるだろう

おまえの 首を刎ねたところで・・・

なぜ おまえは憎き宿敵に 秘密を 漏らしたのだ・・・

いつぞや出逢つた あ奴の娘の為か・・・

秘密の草を 宿敵の娘にこころごと差し出したのか

口を引き結んだ おまえは 
命にかへても 誰かを守り
あまんじて首を差し出した

死んでも言はぬ 口は割らぬと・・・
あはれなその目は 訴えてゐた

弟よ 血にまみれた 草を見よ
おまえの熱き血潮を かぶつたその草は
先祖代々秘伝とされた チドメの意味も成さぬほど
おまえの首から 溢れ出る血に 紅く染まって美しい

愚かものめ・・・

我のこころまで 血を流させて於ゐて・・・
嗚呼 弟よ 我はおまえを憎んでは居らぬ
ただ 情けなく思ふだけだ

そうしてこの草に縛られた 我もまた
愚かものだ・・・

道理は道理
家に叛いた罰は罰

赦せよ・・・

$まほろば

拝借 無料壁紙 日本の四季


☆・・・弟切草の意味を なにげに調べてみたところ 伝説だと思われるのですが 平安時代 鷹匠の晴頼が 鷹の傷を治す秘伝の薬を 宿敵の娘と 恋仲になった弟が 漏らしてしまったことから 兄として弟の首を刎ね その血が弟切草に飛び散ったということから 弟切草といわれているようです。さだかではありませんが・・・