日曜日にひとつ <ちいさい 庭>-石垣 りんー | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

鳴きウサギ|Nakiusagi
静かに鳴く小さな声のウサギ。
青薔薇の咲く場所で、和歌・童話・詩・願いを綴っています。
2009年より、呟きのように日々を記録。
noteでは「舞香亭幻想香炉」という物語の香りを、そっと灯しています。

https://note.com/nakiusagi44

わたしの 好きな詩人の詩をひとつ 日曜日にひとつ 書いておきます・・。
たまにはいいよね・・・・。


ーちいさい 庭ー   石垣 りん

老婆は 長い道を潜り抜けて そこへ着いた

まつすぐに光に向かつて生きてきたのだろうか
それともくらやみに追われて 少しでも明るい方へとかけてきたのだろうか

子どもたちーー
苦労のつるに
苦労の実がなつてただけ
(だけどそんなこと 人にいえない)

老婆は今なお貧しい家に背を向けて
朝顔を育てる。
たぶん
まちがいなく自分のために
花咲いてくれるのは これだけ、青く細い苗

老婆は少女のように
目を輝かせていう
空色の美しい如路(じょろ)が欲しい、と。



(私的感想)-----

水色は 彼女の青春時代でもあっただろう・・・
失った青春 二度と来ない青春・・・(戦争中であったから)

自分の為には何一つなく 手元の青苗が
素直に彼女の手に寄って咲き開くことが
唯一の喜び・・・
哀しみも幸せも 失ったと思えばまた やってくる・・・
そんな繰返しが 生きるということなのかもしれない・・・。

過度な期待はしないがいい
過度な悲嘆も必要ない

王様にはなれないけれど 人並みにはやっていけるのだ
それで十分なのだ・・・
背後の影は寂しさをかみ殺す それすらも生きるってことだろう・・・。

健やかに生を満喫して頂きたく それが一番素敵な事だと。 
ただ 生きて行く・・・。






ー句ー

朝顔の つる巻く先が 在りて伸び