ー夏海の情景ー
行き場 なくした
波飛沫
砕けた白い 波頭
漁師の 肌を潮で焼き
海の大きなたなごころ
緩やかに揺れ ゆらゆらと
小船の上で 網を引く
命の力 ぶつかりぬ
カモメの群れは
魚の 影 見つけて
声をあげながら
漁師の耳に ささやいて
網を引けよと
催促し
船の頭上を 取り巻きて
陸で待ちたる猫の目は
大漁旗の行方を見
浜の女も 逞しく
小麦の肌は 陽に映えて
労に勤しむ せわしげに
活気溢るる
大漁の 船が着くのを
待ちながら
夕闇の迫る 水平線
橙色と黒い色
溶けてもすぐに 交わらず
おぼつかなしと思ひたり
かたぶく空の 陽の陰り
蜜柑の味の 鼈甲の
まろき形の 夕陽哉
蜂蜜味の夕陽哉
夜は静かに 墨色の
暗き衣を うち広げ
小さく突いた 針穴のあまたの星の輝きは
夜の衣を劈きて 光は漏れし 星の穴
闇の背中に陽を隠す
隠すけれども 背に漏れて
昼のまことは 闇の奥
地上を照らしあるものか
画僧提供自然いっぱいの素材集
