デッド・エンド(終着点) | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

鳴きウサギ|Nakiusagi
静かに鳴く小さな声のウサギ。
青薔薇の咲く場所で、和歌・童話・詩・願いを綴っています。
2009年より、呟きのように日々を記録。
noteでは「舞香亭幻想香炉」という物語の香りを、そっと灯しています。

https://note.com/nakiusagi44

ーデッド・エンドー
  (終着点)

さらさらと なごりの川を流れゆく 
春を仕舞いて 桜花
昨日の盛り 今日の夢
仄かな 色は まだ映えて
何処旅立つ 旅人の 横顔掠め
悔いもなく

時を待たずに 君はゆく
里に残るは わたしだけ 
見送る肩に散る桜
無人の駅の草むらに
過ごした日々は 陽に染まる

黒き列車の警笛は
引き裂く日々をあれこれに
皮肉な顔を するような
デッドエンドの結末の
ここから先は 進まれぬ

銀の鱗を翻し
小川の鮒はまだ責める
心を隠す岩陰に
流れをなさぬ 薄よどみ
わたしの瞳 映さずに
嘘をつくなと翻る

少女のリボン ほどくように
薄桃色の 花散って
わたしは自慢の黒髪を
切って 大人の顔になり
好きになんかは ならないと
消える蝋燭 初恋火
衣も流す 花筏

一声鳴いて 山鳩の
羽を残して飛び去るは
情け残して 発つ君と
重ねて見ろと言いたげに
白く儚く 残酷に 悲しい程に
美しく 恨む心が後ずさり
つま先寒く 青ざめる

旅立つ君の 広い背と
残るわたしの 小さい手
交差しながら すれ違い
すべてが スローモーションの
音無き 音のその中の
思いはかけぬ その刹那
かき消すような 遅い 春