明星 (秘密) | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

特別という 言葉は なんて魅力的なんだろう
特別と言われて 嫌な気持ちにはならない 魔法のことば
だからこそ 特別を秘密にする・・・


ー明星ー

むかし
むかし

あなたのとくべつに なりたくて

背伸びを続けたの
どきどきしながら あなたに相応しくなりたかった

つま先だって 転びかけて 痛い思いもする
あなたの横に 似合う人を見かければ見かけるほど
たどり着けぬ 目的地
あまりに 遠すぎて

泣けばよかったの?乞えばよかったの?わたしに気付いてと・・?
ちっぽけなプライドなんか捨ててしまって ただ 待てばよかったの?

あなたへ 素直に好きと言いたかったけれど
拒絶されて 傷ついたら 生きてゆける自信もなかったし
何よりも あなたの背に食い込むみたいな 重荷にだけはなりたくなかった

あなたは 暁の星
煌きを纏って 藍色の空を静かに微笑んでる 
そんな冷たい あなたに憧れた・・・ ほんとうに憧れた・・・

ある日突然気付いたの
暁の明星に 並ぶような星は この世には存在しないこと

だからわたし気配なくして ただ草の葉の上
ゆらゆらと 落ちるような 朝露になろうと思ったわ

むかし
むかしの 恋


ー秘密ー

 君がくれし 情けの恋の言の葉を

  天の岩戸に隠しけむ

人のあがめし岩戸ゆえ 浮名を避ける 恋をしみれば

かの大神も 許し給うや